カレントアウェアネス-E
No.300 2016.03.17
E1780
『カレントアウェアネス』とは:2011~2015年の記事から
『カレントアウェアネス』(CA)は,図書館及び図書館情報学における国内外の近年の動向及びトピックスを解説・レビューする情報誌です。1979年8月に国立国会図書館(NDL)職員向けの執務資料として創刊され,1989年6月刊行の118号から日本図書館協会による刊行物としての頒布が始まりました。現在CAは,冊子版刊行と同時にオンライン版をCAポータルに掲載していますが,CAポータルで公開しているのはこの118号以降の記事です。CAの経緯は,創刊300号・30周年記念特別号(2009年6月刊行)にまとめられています。続く301号(2009年9月刊行)では,118号から300号までの記事についての分析を行っています(CA1695参照)。本稿では,2011年から2015年に掲載した130本の記事について簡単に振り返ります。
◯誌面構成と刊行形態
CAは,近年話題になっているテーマについて分かり易く説明する「一般記事」,ある特定分野について最近の動向を概観する「動向レビュー」,特定テーマに関する研究論文をレビューする「研究文献レビュー」で構成されます。記事内容は,図書館・図書館情報学関係の有識者を交えて年4回開催される編集企画会議で決定しています。CAは創刊当初B5判の月刊誌でしたが,2002年の『カレントアウェアネス-E』(CA-E)創刊に伴い,272号(2002年6月刊行)からA4判の季刊誌に変更しました。
◯過去5年間の記事内容とアクセス数が多かった記事
オンライン版には,記事ごとに記事内容を示すタグを付与しています。これらのタグから過去5年間に多く取り上げられた記事内容を挙げると,「デジタル化」「デジタルアーカイブ」「学術情報」「学術情報流通」などがあります。また,館種は大学図書館,国・地域は日本及び米国の記事が多くなっています。
また,オンライン版のアクセス数から特に読者の関心を惹いた記事を挙げると,「動向レビュー:図書館はデジタルカメラによる複写希望にどう対応すべきか」(CA1770参照),「動向レビュー:日本の公共図書館の電子書籍サービス-日米比較を通した検証-」(CA1773参照),「動向レビュー:Linked Dataの動向」(CA1746参照),「大学図書館のサービスとしての文献管理ツール」(CA1775参照),「動向レビュー:デジタル教科書をめぐって」(CA1748参照),「読書通帳の静かなブーム」(CA1841参照)などがあります。また,「一般記事」よりも「動向レビュー」や「研究文献レビュー」記事へのアクセスが多い傾向が見られます。
◯東日本大震災関連の記事
『カレントアウェアネス-R』やCA-Eと同じくCAも東日本大震災関連の記事を掲載しており,「図書館共同キャンペーン「震災記録を図書館に」呼びかけ団体における東日本大震災関連資料収集の現状と課題-震災の経験を活かすために-」(CA1815参照)や「動向レビュー:国境なき図書館と国際キャンペーン『緊急時の読書』」(CA1810参照)などがあります。また,震災から5年目の2016年3月刊行予定の327号では,小特集を組む予定です。
◯おわりに
CAは,特定のテーマについて背景説明や解説を行うことを目的とすることから,執筆者はNDL職員だけでなく,他館の図書館職員・図書館情報学研究者や他分野の研究者など多岐にわたります。
創刊から約37年が経過し時代状況に合わせて変貌を遂げてきたCAですが,今後もCAシリーズの連携を意識しながら,図書館に関する最新情報を提供する情報誌としてより読み応えのある記事を提供できるよう努めていきます。
関西館図書館協力課調査情報係
注:この記事には英訳版(E1780e)があります。
Ref:
http://current.ndl.go.jp/ca
http://current.ndl.go.jp/node/1221
http://current.ndl.go.jp/ca/no300
http://current.ndl.go.jp/node/1222
http://current.ndl.go.jp/ca/contributor
http://current.ndl.go.jp/sinsai
CA1695
CA1770
CA1773
CA1746
CA1775
CA1748
CA1841
CA1815
CA1810