CA1810 – 動向レビュー:国境なき図書館と国際キャンペーン『緊急時の読書』 / 鎌倉幸子

PDFファイルはこちら

カレントアウェアネス
No.318 2013年12月20日

 

CA1810

動向レビュー

 

国境なき図書館と国際キャンペーン『緊急時の読書』

 

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会:鎌倉幸子(かまくらさちこ)

 

 

はじめに

 国境なき図書館(Libraries Without Borders: LWB)は2007年にウェイル(Patrick Weil)氏によって設立されたフランスのパリに本部を置く非政府組織(NGO)である。

 2007年の設立時には、LWBは、情報へのアクセスと文化の伝播は、経済発展、民主主義の実践や人権の鍵を握ると考え、開発途上国において図書館を通じて知識と文化をベースとした発展を促すことを目的としていた。2010年に起こったハイチ地震を契機に、スタッフやボランティアなどの支援チームを現場に派遣し、本や教育教材の配布など緊急救援時における図書館の活動を展開した。その際にフランスの作家であるマーズ(Kettly Mars)氏は「魂の栄養は絶望的な環境の中にいるとしても人間が社会を復興させるために不可欠なことであり、2010年1月のハイチでの震災の際のLWBの活動は、計り知れないものである」という言葉を寄せている(1)

 その後、アメリカ、ベルギー、ハイチにもスタッフを配置し、アフリカを中心にアジア、ヨーロッパ、アメリカなど全世界20か国をこえる国々で図書館の支援活動を展開している。現在進行形で活動を行っている国は、アフリカのブルンジ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ民主共和国など12カ国。アジアではインド、コーカサス地方のアゼルバイジャンやグルジア。ハイチでの事業も継続している(2)。国連の関係機関などとも連携し、緊急救援時における図書館事業を行っているNGOとしてイニシアティブをとる存在となっている。

 LWBが2013年に出した団体紹介のパンフレットによると、設立から今日まで、500人を超える図書館員に施設や備品の使用の仕方、図書のデジタル化、館で行える文化プログラムの組み立て方などのトレーニングを提供し、また移動図書館の運行や図書室の設置を行いそれまで読書の経験がなかった50万人に読書の機会を提供した。また500人のボランティアをプロジェクト実施地に派遣し、毎年、フランスとアメリカで本の寄贈を呼びかけ、集まり仕分けされた5万冊の本を活動地に送っている(3)

 

 

 

1. 国境なき図書館の姿勢

 LWBの姿勢として4つの視点が挙げられている。(1)活動を実施している地域とのパートナーシップ、(2)持続可能な開発、(3)民主主義と人権、(4)文化多様性である。

 地域とのパートナーシップについては、現場で行われているすべての活動をLWBが主体的に実施するのではなく、団体とその地域の協会、自治体、政府と協働で開発することとしている。それにより、お互いの信頼性が培われるだけではなく、その地域内で活動に対するオーナーシップの高まりや図書館への支出金の増額が期待され、結果的にプロジェクトの継続性が高まっていくことを狙ったものである。

 持続可能な開発とは、「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に公表した報告書「Our Common Future」の中心的な考え方として取り上げた概念で、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことである。2002年の「持続可能な開発に関する世界サミット」の際に行われた円卓会議で、フランスのシラク(Jacques Rene Chirac)大統領(当時)がその演説の中で、文化を、環境、経済、社会と並ぶ、開発の4つ目の柱として位置付けた。開発途上国に、先進国のやり方を適用するのではなく、その土地の文化に適した戦略の必要性が指摘されると同時に、その国の文化多様性の尊重は、対話を生み、将来的には安全保障にもつながるとの考えが示されている。LWBは、この持続可能な開発の概念を支持するだけではなく、活動地域の出版社を支援し、また地域の遺産を紹介していくことで、その地域における文化産業への発展を促している。また情報と知識へのアクセスは、人々の自立性、民主主義の発展、人権には不可欠なものとしている。そして、図書館は世界を広げ、多種多様なアイディアや観点が持ち込まれる場所として認識している。

 その上で、LWBは文化と言語の多様性を尊重している。その中で、図書館は遺産の保護、地域の言語や知識の普及促進を生む過去と未来をつなぐ架け橋であり、多文化が共存するグローバライゼーションを作り上げるプロセスのかじ取りをする貴重な場所であるとしている。

 

2.国境なき図書館が考える図書館の役割とそれに対する支援

 LWBは、図書館の役割を、(1)教育、(2)情報と文化、(3)能力向上支援、(4)文化的遺産の保護と振興、(5)文化の視野を持った社会起業家が生まれるための場所であると捉えている。ここにあげた5点の役割に対して、LWBは支援活動を行っている。以下、各役割についてどのような活動が行われているか具体例を述べる。

 まず、図書館が教育の役割を担うとの考えから、LWBは大学など教育施設に図書館や情報センターを設置している。そして施設に、備品や設備、教材、教科書、マルチメディアや電子機器類を提供している。またこれらのコンテンツを教員が使えるよう指導も行っている。

 図書館の情報と文化の役割については、開発途上国に本、情報、文化へのアクセスができるような体制作りを行っている。活動地域の図書館とパートナーシップを組み、紙媒体やデジタル資料の開発や質の高い文化プログラムの立ち上げも実施している。また低視力者や難民など困難な生活を余儀なくされている人たち向けに、情報を伝えていくプロジェクトも実施している。これについては、開発途上国に限らず、フランス国内でも同様のプロジェクトを設立当初から行っている。例えば、パリにある、問題を抱えた人たちが保護されているシェルターやデイセンターに図書室を作り、本、インターネット、教育活動へ参加する機会を提供している。さらにこれらの本や情報が、これらの人たちの社会復帰への足掛かりとなるようなプログラム作りを心がけている。

 能力向上支援については、LWBは、医療や司法の分野の専門家への能力強化のためのアクセス作りを進めている。アフリカ、カリブ海、太平洋沿岸の国々において人権や法律への理解をより深めてもらうため、専門家が利用できるヴァーチャルな司法図書館を開発し、サービスを提供している。

 文化遺産の保護については、LWBは、図書館や文化施設などの施設造りを通じ、地元に残る文書の保護だけではなく、口承で伝わっている文化的遺産の保存を行っている。またその作業を行う専門家を育成するトレーニングを提供している。地域に残る知識や知恵を保存・活用し、地元の出版社へのサポートを通じて、文学の発展を促すように努めている。2010年1月のハイチ地震の際には、震災から数日後、LWBはハイチ国立図書館からの要請を受け、3館の公文書館にあったコレクションを洗浄、保存するなど「守るべき資料の緊急援助」を実施した。

 LWBは社会的起業家の育成にも取り組んでいる。文化プロジェクトの開発者とともに、持続可能な経済モデルを構築している。「明日の図書館のビジネスモデルを考案すること」をモットーに、経営戦略のトレーニングや所得を生み出す活動作りを通じて、図書館が実施するプロジェクトに資金が提供され支援されるようリーダーの育成を行っている。例えば、アフリカやカリブ海の国々で創造性にあふれる革新的なリーダーを育てるため9カ月のトレーニングを実施し、組織作りやプロジェクトのデザインを学ぶ機会を提供した。トレーニング終了後、そこで生み出されたプロジェクトはLWBがサポートし、実施されている。

 

3. 国際的なアドボカシー活動

3.1『緊急時の読書(Urgency of Reading)』の実施

 世界では災害や紛争で4,300万人が住居を奪われた状態にある(4)。衣食住が不可欠なのは疑いようもない事実だが、知的な刺激を維持し、自尊心や回復力を高めることも同時に大切である。その中で、本、コンピューター、法的なアシスタント、トレーニング、情報や文化資料へのアクセスは一人ひとりを勇気づけ、失ったものを再建するツールとなる。

 LWBは、緊急を要する人道的危機の中で人々への情報と文化のアクセスを拡大していくため国際的アドボカシーキャンペーンである『緊急時の読書』を2012年11月よりスタートさせた。これには3,000人以上の世界中の作家や著名人から賛同をもらっている。この中には、1993年にノーベル文学賞を受賞したモリスン(Toni Morrison)氏などノーベル賞受賞者8人も含まれている。

 

3.2 アドボカシーのための国際カンファレンス

 2013年10月11日、12日の2日間パリでカンファレンスが開催された。筆者も東日本大震災における図書館支援についての報告を依頼され、2日間参加した。これには緊急的人道支援が必要な各地で情報と文化の活動をしている専門家や図書館員が一堂に会した。また活動に資金提供をしているスポンサーも200人が参加した。このカンファレンスはただのイベントや報告会としての位置付けではなく、「緊急時の読書」についてセクターを超えて理解を深め、またEUや国連の政策提言まで持っていくアドボカシーの一環となっていた。

 このカンファレンスで議論されたことは以下の通りである。

  • 危機的状況を回避したり、起こってしまった場合、その状況に応えるために図書館ができる役割とは何か。
  • 災害や紛争で被害を受けている人たちが立ち上がっていく中で、社会的・文化的なプロジェクトはどのように展開されるべきか。
  • 新しい情報やコミュニケーションテクノロジーは、鍵となる支援のデバイスとなりえるか。
  • 緊急救援時に実施された社会的・文化的なプロジェクトがもたらしたインパクトを図るためのよりよい評価方法は何か。

 

 

 オープニングはパリ市長であるドラノエ(Bertrand Delanoe)氏を招き行われた。その後、スタートした2日間のプログラムは7つの全体会と6つの分科会、1つのワークショップで成り立っている(5)

 オープニングの後に行われた最初の全体会は「緊急時の読書:国際的なアクションを促す呼びかけに賛同した3人の作家の見地」として報告があった。甚大な被害をもたらした災害時にこそ、自分で表現することや他者の言葉により、突然自分を襲った現実から一瞬でも逃げることができるという言葉の力やこの活動に賛同した理由がプレゼンテーションされた(6)

 次に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)副高等弁務官であるアレイニコフ(Alexander Aleinikoff)氏による基調講演が行われた。UNHCRは難民キャンプで様々な支援を行っているが、緊急時においても文化、情報、教育へのアクセスを確保する大切さを述べていた。文化や情報は日常生活の基本にあるものであり、地域への帰属意識や身内意識を高めることで人々が災害時でも結束することができる。アレイニコフ氏は、教育的側面はもちろん、難民キャンプにいる人々の孤独を紛らわせてくれるのが本の存在であり、「起きて、食べて、寝る」だけの生活の中に変化を及ぼしてくれると語った。「過去を失い、今を失い、未来を失った」と感じた人々にとって、本や文化が支えてくれることは大きいと述べていた。

 「人道的非常時における情報や文化へのアクセスの現状」と題した全体会では、具体的な事例の報告を織り交ぜながら報告があった(7)。ハイチでの大地震の後、移動図書館がレクリエーションや教育の機会を作ってきたこと。震災の際、本が子どもたちのトラウマのケアにつながったこと。アラブの春や今日のシリア状勢において、最新のテクノロジーやソーシャルネットワークが果たした役割などの事例が報告された。

 その後、「危機回避や緊急救援時における図書館員の役割」、「危機の中でのICTと情報へのアクセス」、「人道的状況におけるトラウマ、倦怠、回復:社会文化的プロジェクトの役割」、「危機的状況の中にある子どもたち」、「インターネット、ソーシャルメディア、携帯電話:人道支援における伝統的なメカニズムの再定義」、「緊急時における情報や社会文化的プロジェクトのインパクトを評価するよりよい方法」という6つの分科会が行われた。講師として、フランスのみならず、ハイチ、ヨルダン、ケニアなどのまさに現在も現場で活動している人たちが登壇し、「生の声」を伝える場となっていた。

 第一分科会は「危機回避や緊急救援時における図書館員の役割」。筆者もこの分科会で報告を行った。この分科会が設定された背景として、紛争や震災後に図書館が持つ役割が認識され、設置されていた歴史があることが挙げられていた。分科会のレジメには次のように示されている(8)。「第一次世界大戦後、荒廃したフランスへのアメリカ委員会(American Committee for Devastated France)は、戦後続く混乱の中で暮らす人々のトラウマに対処することを目的として、図書館を設置した。20世紀に起こった第二次世界大戦からユーゴスラビア紛争、また近年ではハイチ、チリ、アメリカ、日本などの震災が起きた時でも、図書館を作る動きが見られる。これは図書館が破壊され荒廃している土地において、社会的なつながりを再構築していく場所となっているからである。」

 アメリカ・ニューヨーク州にあるクイーンズ大学のギトナー(Fred Gitner)氏は、「震災時でもアクセスの管理を:利用者を第一番に」という演題でニューヨークを襲ったハリケーン時の対応について報告した。アフガニスタンのカブール大学にあるアフガニスタンセンター所長のワファ(Abdul Waheed Wafa)氏が「紛争時での図書館は開発を促した」という演題で、タリバン崩壊後から今まで図書館が担ってきた役割や、アフガニスタンセンターで行っている地域への移動図書箱の貸し出しや国に関する資料の収集と保存を行うアーカイブの役割を担っていることなど発表があった。マリ共和国のゴーダン図書館長のシッセ(Hamadoun Amadou Alpha Cisse)氏が「戦争時における図書館:マリ共和国をケースに」と題した講演を行った。

 この中で、筆者が「東日本大震災における移動図書館の役割」と題し、岩手県、宮城県、福島県で行っている移動図書館について活動報告を行った(9)。移動図書館で本の貸し出しを行うことを聞いた人から、「本はあげればよいのでは」という発言があったが、仮設住宅団地は居住スペースが限られていて本を含め物を置く場所が少ないこと、子どもを持つ親から「子どもが支援慣れするのが怖いので、貸したものは返す、みんなのものは大切に使う」という非日常から日常に戻る訓練を図書館を通じてしたいという声があったことなど、エピソードを交えて紹介した。時間が限られていたため質疑応答の時間がなかったが、その後、参加者から福島の現状がどうなっているのか、その中で本や文化が果たすべき役割について質問を受けた。

 第二分科会は「危機の中でのICTと情報へのアクセス」である。情報とコミュニケーションテクノロジー(ICT)の発展により、人道支援時においても情報へのアクセスが確保されるようになった。無償で様々な情報が得られるようになり、Open Street MapやSahana Edenの開発は、支援の仕方の改善につながっている。難民キャンプや避難所が複数個所に点在している場合など、状況の把握に多くの時間がとられる。図書館の活動の質を高めていくのはもちろん、活動を行う上で有効なツールの研究も同時にしていかないと、届けるべき場所に届かないことが起こり得るという報告がなされた(11)

 第三分科会は「人道的状況におけるトラウマ、倦怠、回復:社会文化的プロジェクトの役割」である。本だけではなくスポーツ、演劇、映画などの社会文化的プロジェクトを通して、親族を失うなど心に傷を負った人々に寄り添い、倦怠感を払拭し、日常生活に向け回復していくプロセスへの支援について報告がなされた(10)

 色々なステークホルダーが援助の在り方を討論する全体会では政府の立場としてフランス外務省危機センター所長のブレット(Didier Le Bret)氏、支援者側としてビル&メリンダ・ゲーツ財団でプログラムオフィサーを務めるホルナー(Darren Hoerner)氏、国連が行う活動や運営を円滑に進めるためのサポート事業を行うアメリカの企業であるGlobal XのCEOであるペイグノン(Paul-Antoine Peignon)氏、そしてフランス赤十字の国際プログラム局の局長であるペティボン(Antoine Petibon)氏がそれぞれの立場の役割について語った。

 ハイチの前首相であるルイ(Michele Pierre-Louis)氏や欧州議会開発委員会委員長のジョリー(Eva Joly)氏が登壇。欧州議会でも文化や本に対する視点が弱いのでLWBの代表を議会に招くのでプレゼンをしてもらいたいという要請を行っていた。

 このように現地の報告だけにとどまらず、次のアクションや政策へのアドボカシーにつながるところまで持っていき、カンファレンスは終了した。

 

4. IDEAS BOXの開発とカンファレンスでの公表

 LWBでは持ち運び可能な緊急人道支援時のマルチメディアキットであるIDEAS BOX(12)を世界的に有名なフランスのデザイン会社スタルク(Phillippe Starck)が技術協力をし、UNHCRが運営パートナーとして開発している。資金はアレキサンダー・ソロス財団(The Alexander Soros Foundation)、ピエール・ベロン協会(The Pierre Bellon Association)、パリ市がサポートしている。このキットは「つながり」、「学び」、「遊び」、「創造」をテーマに様々な備品が設置されている。「学び」だと本が、「遊び」だとボードゲームや映画などの上映機器が入っている。テントなども入っているため、この箱を広げれば、簡易な図書館がどこにでもできるようになっている。また衛星のインターネット接続機器やラップトップ、タブレットなども完備され、子どもが学び、楽しむだけではなく大人の必要な情報へのアクセスも可能としている。

 今回のカンファレンスでこのキットがお披露目となったが、全世界で活動を行う参加者からフィードバックをもらう時間を定めていた(13)。その意見を反映させ、より良いキットを作成していく予定である。支援者となっているパリ市のドラノエ市長も「難民になってしまった人々が情報と文化にアクセスできる機会を提供する革新的な技術」というコメントを寄せている。

 このように独自に開発するのではなく、国連や支援者である個人、財団を巻き込みながらキットが開発されている。

 

まとめ

 LWBは2007年と設立から10年たっていない団体にもかかわらず、緊急救援と図書館という分野に特化し、イニシアティブをとる団体として成長している。

 LWBは、「図書館は文化と情報を守る存在」という理念をしっかり持っていることはもちろん、その「本」、「文化」、「情報」をキーワードに政府、支援者、大学、企業など様々なステークホルダーとつながり、巻き込みながらプロジェクトを実施している。一団体が「図書館活動」のすべてを行うのは到底不可能な中、各ステークホルダーがブレイン、支援者、一緒に事業を行うパートナーとなり活動している。日本ではネットワークなどはあれども共同で事業を行うケースは少ないのが現状である。またIDEAS BOXのように、自分たちが行ってきた活動を「形」にしモデル化していく姿勢には学ぶべきものがある。今後、このIDEAS BOXなどは国連などで採用され、世界中の災害現場に登場していくかもしれない。

 NGOの活動の究極の目的は、「存在がなくなること」である。その実現のためにも、アドボカシーを常に行い、その国や地域の政策に図書館を組み入れてもらうことを怠るべきではない。このカンファレンスを一過性のイベントとしてはいけない。参加者人数で評価するのではなく、アドボカシーやネットワークの構築などその先の目的を持ち、動ける団体が世界の主流を作っていくのではないだろうか。またこれはNGOだけの話ではない、図書館も積極的に自分たちの存在価値をステークホルダーに伝え、認識してもらうことが大切である。予算が減っているという声をよく聞く。図書館関係者だけで図書館の良さを語るだけではなく、首長を含めたポリシーメーカー、利用者である住民、スポンサーになりえる企業や団体などに積極的に働きかけていくことができるのではないかと考える。

 

(1) International Symposium: the Urgenicy of Reading. Paris, 2013-10-11/13, Libraries Without Borders. 2013, 102p.

(2) “What we do”. Libraries Without Borders.
http://www.librarieswithoutborders.org/index.php/libraries- without-borders/about-us/history-and-values, (accessec 2013-11-08).

(3)“ Libraries empowering people for development”. Libraries Without Borders.
http://www.librarieswithoutborders.org/images/BSF/LWB% 20BROCHURE%20WEB.pdf.

(4) “The Urgency of Reading Campaign”. Libraries Without Borders.
http://www.urgencedelire.fr/index.php/en/the-campaign/context, (accessec 2013-11-08).

(5) “The Urgency of Reading : Provisional program”. Libraries Without Borders.
http://www.urgencedelire.fr/index.php/the-conference/program , (accessec 2013-11-08).

(6) 作家でLWBの親善大使を務めるダリュセック(Marie Darrieussecq)氏、17世紀に設立されたフランスの国立学術団体「アカデミー・フランセーズ」のメンバーで作家のオルセナ(Erik Orsennna)氏、元ユネスコのフランスの親善大使で作家のロンデュー(Daniel Rondeau)氏が登壇した。

(7)アメリカのワシントン大学インフォメーションスクールのガリドー(Maria Garrido)氏、緊急時における教育のコンサルタントでInter-Agency Network for Education in Emergenciesの創立者であるタルボット(Chris Talbot)氏、国境なき報道記者のマリロン(Lucie Marillon)氏、日本国際児童図書評議会(IBBY)の会長のアルダナ(Patricia Aldana)氏が登壇した。

(8) International Symposium: the Urgenicy of Reading. Paris, 2013-10-11/13, Libraries Without Borders. 2013, 13p.

(9) 鎌倉幸子. “Libraries Without Bordersのカンファレンスのスピーチ”. 地球に笑顔のタネをまく課長のブログ. 2013-11-28.
http://ameblo.jp/1192-sachiko/entry-11713773573.html, (参照 2013/12/5).

(10) サハラソフトウェア財団の会長のプルトサリス(Mark Prutsalis)氏が「災害管理のソリューションとしてのオープンソースの進化」、アイルランドにあるDisaster Tech Labの創設者ボップ(Evert Bopp)氏が「ハリケーン・サンデイの後のDTLの取り組み:テーマに基づくマッピングの原則」、フランスのURDグループの情報システムのリサーチャーのサラット(Olivier Sarrat)氏が「デジタル革新:人道支援における意義とインパクト」、フランスのOpen Street Mapのチャヴェント(Nicolas Chavent)氏が「危機への準備、緊急時、復興時、そして開発においてツールとなる参加型コミュニティーマッピング」と題して講演を行った。

(11)フランスのボビニーにあるアヴィセン病院でトラウマを専門としている心理学者であるマリチェッズ(Heloise Marichez)氏が「心理的健康における本の世界:ブルキナファソのメンタオ難民キャンプをケースに」、クラウンで作る団体である「国境をこえるクラウン」のワグナー(Marik Wagner)氏が「パフォーミングアート:心理学的プログラムにおける重要なツール」、スイスのRight to Playのモーラン(Nicole Moran)氏が「人道的状況における子どもや青少年が行うスポーツや遊びについて」、フランスの映画技術者ランベルト(Christian Lambert)氏が「難民キャンプと映画」と題して講演を行った。

(12) “The Idea Box”. Libraries without Borders.
http://www.urgencedelire.fr/index.php/en/ideas-box, (accessec 2013-11-08).

(13) “Success of the “Urgency of Reading” Symposium and Presentation of the Ideas box”. Libraries without Borders.
http://www.librarieswithoutborders.org/index.php/news-and-events/lwb-news/item/289-success-of-the-urgency-of-reading-symposium-and-presentation-of-the-ideas-box, (accessec 2013-11-08).

Ref:
“持続可能な開発.” 外務省.
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/sogo/kaihatsu.html, (参照 2013/10/21).

 

[受理:2013-11-18]

 


鎌倉幸子. 国境なき図書館と国際キャンペーン『緊急時の読書』. カレントアウェアネス. 2013, (318), CA1810, p. 20-24.
http://current.ndl.go.jp/ca1810

Kamakura Sachiko.
Libraries Without Borders and its International Call to Action “The Urgency of Reading”.