カレントアウェアネス-E
No.197 2011.07.28
E1198
「国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス開発版」公開
国立国会図書館(NDL)は,2011年7月7日に「国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス開発版」(以下「Web NDL Authorities開発版」という)を公開した。
このシステムは,2010年6月に公開した「Web版国立国会図書館件名標目表」(以下「Web NDLSH」という)(E1071参照)を発展させ,名称典拠データを追加し,機能を拡張したものである。国立国会図書館サーチ(開発版)(E1087参照)との連携を強化し,関連キーワードの提示,典拠コントロールされた各標目からの再検索など多様な検索機能を実現している。
Web NDL Authorities開発版では,NDLが維持管理するすべての著者名典拠,件名典拠を提供している。Web NDLSHで提供していた普通件名約10万件に加えて,固有名詞を標目形とした「名称典拠」(個人名[例:長尾真],家族名[例:Hapsburg(家),足利(氏)],団体名[例:国立国会図書館],地名[例:琵琶湖]及び統一タイトル[例:源氏物語,沿岸漁場整備開発法]),合計1,053,600件である。
Web NDL Authorities開発版の主な機能は以下のとおりである。
(1) 個々の典拠データへのURIの付与及びURIによる参照機能。
(2) ウェブ上において扱いやすいデータ形式(RDF)による典拠データの提供。各典拠データは個別にダウンロードが可能(RDF/XML形式・RDF/Turtle形式・JSON形式)。また,URIに拡張子を加えてデータ取得可能(HTML形式・RDF/XML形式・RDF/Turtle形式・JSON形式)。
(3) 従来冊子体やPDFとして刊行してきた「国立国会図書館件名標目表」の収録範囲に相当するデータの全件一括ダウンロードが可能。
(4) APIの一種であるSPARQLによる外部システムとの連携。
(5) 典拠データの検索(キーワード,分類記号[NDC9版,NDLC])。
(6) 外部データベースへのリンク:米国議会図書館件名標目表(LCSH)やMARC21のコード類をウェブ上で扱いやすい形式で提供する米国議会図書館(LC)のサービス“Authorities & Vocabularies”,世界の国立図書館協同プロジェクト「ヴァーチャル国際典拠ファイル」(Virtual International Authority File:VIAF)(CA1521参照),“Wikipedia”へのリンク。
(7) シソーラス構造(上位語・下位語・関連語)のグラフィカル表示とそれに基づく参照。
データは2011年4月1日時点のもので,本格サービス開始(2011年12月予定)までデータの更新は行わない。ただし,「国立国会図書館の書誌データに関する個人情報保護対策基準」に規定する申請があり,緊急の対応が必要と認められる場合には,データ削除等の修正を行う。本格サービス開始時には,収録データの自動更新機能,新設件名のRSS配信機能を実装する予定である。
Web NDL Authorities開発版では,セマンティックウェブの技術に基づく,新しい共有の方法として注目を集めるLinked Data(CA1746参照)の形式により,典拠データの提供を行っている。今回,典拠データをウェブ上で利活用しやすい形で公開したことにより,各種データベース内の名寄せ(CA1740参照)や典拠導入(E819参照)等に活用されることが期待される。今後はMARC形式の著者名典拠データ(JAPAN/MARC(A))をVIAFに提供するなど,他機関との連携について検討を進めていく。
(収集書誌部収集・書誌調整課)
Ref:
http://id.ndl.go.jp/auth/ndla/
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2011_2/article_02.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/personal.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/data_plan_1.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/data_plan_2.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2010_2/article_01.html#03-02
CA1521
CA1740
CA1746
E819
E1071
E1087