カレントアウェアネス-E
No.177 2010.08.19
E1087
統合検索サービス「国立国会図書館サーチ」開発版が公開
国立国会図書館(NDL)は,2010年8月,「国立国会図書館サーチ」の開発版を試行公開した。国立国会図書館サーチとは,NDLが提供するコンテンツに加え,全国の公共図書館,公文書館,美術館や学術情報機関等の書誌データ,デジタルコンテンツを統合的に検索できるサービスである。この「国立国会図書館サーチ」というサービス名称には,NDLが提供する検索サービスの最前面に位置するもの,という意味を込めている。
NDLはこれまで,国内のデジタルアーカイブを統合検索できる「国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)」,NDLの蔵書を検索できる「国立国会図書館蔵書検索・申込システム(NDL-OPAC)」,全国の都道府県立・政令指定都市立図書館の所蔵する和図書を検索できる「国立国会図書館総合目録ネットワーク(ゆにかねっと)」等,検索したい資料の媒体や所蔵機関に合わせて,異なる検索サービスを提供してきた。国立国会図書館サーチでは,これらのサービスの検索対象を統合的に検索することができる。また,検索した結果から,デジタルコンテンツや所蔵機関,オンライン書店等,可能な限り資料の入手手段へと案内することで,国内の各機関が持つ豊富な「知」を活用するためのアクセスポイントとなることを目指している。
2010年8月現在,国立国会図書館サーチは,NDLおよび外部の連携機関の43種類のデータベースを検索対象にしている。全文がテキスト化されているコンテンツの場合は,本文も検索対象となる(現在では,国立国会図書館ホームページで公開されているコンテンツのみ)。検索を支援する特徴的な機能として,次のものがある。
- 異なる表記や類義語・同義語等での検索を可能とする,あいまい検索機能
- 紙やデジタル等形態や版が異なるが,同一の著作と思われるものを近い位置に表示する,検索結果グルーピング機能
- 複数機関が同じ資料を所蔵している場合,書誌データをまとめる書誌同定機能
- 検索語の関連キーワード等からの再検索機能
- 資料種別,所蔵機関等からの絞り込み検索機能
- 他のシステムから検索サービスを利用するためのAPIの提供
国立国会図書館サーチは,2012年1月の本格稼働を予定しており,今後も機能強化のための開発を進める。2010年度には,書誌同定・集約表示の精度向上や,一度のユーザ認証で異なるウェブサービスにもアクセスできるようになるシングルサインオンの実現方式の検証等,各種の実証実験を行い,その成果を活用して機能を改善していく。今回,開発版を試行公開することで広くご意見をいただき,それを反映させながら利用しやすいシステムに仕上げていきたいと考えている。ご意見は,国立国会図書館サーチの「お問い合わせ」ページで受け付けており,今後アンケートも実施する予定である。皆様からのご意見をぜひお寄せいただきたい。
(総務部情報システム課)