E1189 - 大学図書館コンソーシアム連合JUSTICEの誕生:現状とその将来

カレントアウェアネス-E

No.196 2011.07.07

 

 E1189

大学図書館コンソーシアム連合JUSTICEの誕生:現状とその将来

 

 2011年6月21日,株式会社サンメディア主催「第7回学術情報ソリューションセミナー2011 in 大阪」が開催され,国立情報学研究所(NII)学術情報基盤推進部図書館連携・協力室の守屋文葉氏と今村昭一氏による講演「大学図書館コンソーシアム連合の誕生:JUSTICEが見ている先は?」が行われた。その講演内容と配布資料に基づき,“JUSTICE”(Japan Alliance of University Library Consortia for E-Resources)が誕生した背景,概要と現状,将来のビジョンについて紹介する。

 国内外問わず,大学図書館では学術雑誌の価格高騰へ対抗するためコンソーシアムによる共同購入が行われてきた。日本では,国立大学図書館協会(JANUL)コンソーシアム(2000年設立)と,公私立大学図書館協会コンソーシアム(PULC,2003年設立)がその役割を果たし,各大学における電子ジャーナル契約タイトル数の増加といった成果を挙げてきたが,継続的な情報収集や次世代へのスキル継承,コンソーシアム間の連携とスケールメリットの活用等に課題があった。このような背景のもと,2010年10月13日にNIIと国公私立大学図書館協力委員会との間で学術情報の確保・発信を目的とした協定が結ばれ,それを受けて2011年3月25日にJANUL等が「新コンソーシアム運営にかかる当面の基本方針について」を発表,4月1日付けでJUSTICEが誕生した。

 JUSTICEのミッションは電子リソースに係る契約,管理,提供,保存,人材育成等を通じて,日本の学術情報基盤の整備に貢献することであるという。JANULコンソーシアムとPULCの業務は2011年度中に完全にJUSTICEへ移行する予定である。組織としては,NIIと国公私立大学協力委員会が合同で設置する「連携・協力推進会議」の下に位置づけられ,JUSTICEの中には,大学図書館の管理職等14名から成る「運営委員会」,同実務担当者等21名の「協力員」,専任職員3名(現在は東京大学から2名,早稲田大学から1名が出向)が配属された「事務局」(図書館連携・協力室)が存在する。2011年6月17日時点の参加機関数は487で,これは世界でも有数の規模であるという。

 講演では2011年度のスケジュールが紹介され,喫緊の問題として2012年度の電子リソース契約に向けた出版社交渉が挙げられた。これまでに出版社からJANULコンソーシアム・PULCになされた提案を整理し(その結果,約35の出版社と約45の製品が対象に),9月開催予定の版元提案説明会に向けて100回以上の交渉を重ねていくそうである。交渉においては,スケールメリットの活用や支払の一元化といった新たな交渉カードの模索,新しい契約モデルへの対応,スコットランドのSHEDLのようなサブコンソーシアムの形成の検討等が課題であるという。また,対症療法的なコンソーシアム交渉を続けるのではなく,非購読料モデルの可能性も追求していく必要があるとも述べられた。

 講演の締めくくりに,単なる「購読クラブ」を超えた電子リソースの総合的ユーティリティを目指すという将来的なビジョンが提示され,(1) ナショナルコレクションの拡充,(2) 電子リソースの管理と利用提供,(3) 長期保存とアクセス保証,(4) 人材育成,の4点について現状と展望が語られた。(1) については,NIIが2006年から行ってきている電子ジャーナルバックファイル共同整備事業を,ナショナルライセンスに対して過去に8,000万ユーロ以上を出資しているドイツ学術振興会(DFG;E434参照)のレベルに近づけていきたいと述べられた。また,(2) では電子情報資源管理システム(ERMS)やディスカバリ・サービスの共同導入の可能性の検討について,(3) では電子ジャーナル保存プロジェクト“CLOCKSS”(E1117参照)への協力について触れられた。最後,(4) としてはNIIの「実務研修生」制度が紹介され,出版社交渉等の実務経験を希望する大学図書館職員を募集していると述べられた。

Ref:
http://www.sunmedia.co.jp/modules/bulletin0/article.php?storyid=152
http://www.nii.ac.jp/content/justice/documents/201106_Sunmedia_seminar-justice.pdf
http://www.nii.ac.jp/content/justice/
http://www.nii.ac.jp/content/justice/documents/kyoteisyo_20101013.pdf
http://www.nii.ac.jp/content/justice/documents/justice-hoshin_20110325.pdf
http://scurl.ac.uk/WG/SHEDL/index.html
http://www.nii.ac.jp/hrd/ja/jitsumu/index.html
E434
E1117