カレントアウェアネス-E
No.128 2008.05.28
E786
OCLCとGoogleがデータ交換・連携を強化
OCLCは2008年5月19日,Google社と相互のデータ交換およびデータ連携に関する合意書に署名したと発表した。これにより,OCLCがウェブ上で公開している総合目録“WorldCat.org”と,Google社の書籍検索サービス“Google Book Search”とが相互にリンクされるようになる。
Google Book Searchはすでに,“Find this book in a library”としてWorldCat.org内の該当書誌・所蔵レコードへのリンクを実装している。今回の合意は,これを正式なものとした上で,その逆方向の,WorldCat.orgからGoogle Book Searchへのリンクを新たに設けるというものである。具体的には,OCLCはGoogle Book Searchで提供されているコンテンツのうち,図書館蔵書をデジタル化したものについて書誌レコードを作成し,WorldCat.orgで表示する。WorldCat.orgでは書誌レコードをFRBR風(FRBResque)に表示でき(E588参照),Google Book Searchコンテンツの書誌レコードと,原資料の書誌レコードとの関係(=同一の著作(Work)に属する別の体現形(Manifestation)という関係)も明示される。Google社の図書館蔵書デジタル化プロジェクトに参加しているミシガン大学図書館の副館長によれば,「この合意により,どの資料がデジタル化されていて,どこにあって,別の版とどのような関係にあるのかが一か所でわかるようになり,利用者に有益である」。また,当該書籍を所蔵する図書館の可視性が高まることも期待されている。
なお,このニュースを報じたInformation Today社の記事によると,OCLCは次のステップとして,2009会計年度末までに現在のWorldCat.orgやWorldCat Localと,OCLCが提供しているデジタルコンテンツサービス(電子書籍のコレクション“NetLibrary”,電子ジャーナルのコレクションElectronic Collection Online”,各種データベース・オンライン情報の検索サービス“FirstSearch”)とを統合したプラットフォームを開発予定としている。さらに,Google社との合意に続き,他のデジタルコンテンツ供給者とも,今後数か月のうちに提携していく予定であるともされている。OCLCの担当者はInformation Today社のインタビューに対し,WorldCat.orgのデータ収録範囲を,リポジトリ内にアーカイブされている資料,大規模デジタル化プロジェクトの資料,商用サービスで提供されている電子書籍といったデジタルコンテンツなどへとできる限り網羅的に拡大していき,「可能な限り最良のOCLCになろうとしているのだ」と答えている。
Ref:
http://www.oclc.org/news/releases/200811.htm
http://newsbreaks.infotoday.com/nbReader.asp?ArticleId=49260
E588