E548 – デジタルキュレーションセンターの活動評価(英国)

カレントアウェアネス-E

No.92 2006.10.04

 

 E548

デジタルキュレーションセンターの活動評価(英国)

 

 英国のデジタルキュレーションセンター(DCC: E178参照)が2006年9月,2004年の設立以後の活動についての自己評価報告書を公表した。

 DCCは,デジタルキュレーションに関する概要説明やマニュアル,関連技術や標準の動向を紹介する資料,用語集,事例やツールの紹介,専門家へのインタビューなどの情報をウェブサイトで提供しているほか,電子メールや電話で質問を受け付けるヘルプデスク,関連する技術や課題などに関するワークショップやイベントの開催,国際協力など,さまざまな活動を行っている。本報告書は,これらの活動の影響・効果,利用率,サービスと情報資源の質の3つをテーマとして,DCCのスタッフや関係するコミュニティのメンバー,ワークショップの参加者などへのアンケートやインタビュー,専門家の意見などを分析したものである。

 分析の結果,総じて,デジタルキュレーションに関係する問題の重要性は高く認識されている,DCCの活動は大変有益で質が高いという自己評価に至った。特に利用者から評価された活動はウェブサイトでの情報提供で,中でも国際的な専門家が相互に査読して作成しているデジタルキュレーションマニュアルが,大いに好評を博している。その一方で,DCCが望ましいと考えるほどにはデジタルキュレーションの重要性の認識が広まっていない,DCCが提供するツール類はマニュアルも含めてまだ開発途上である,といった課題も浮き彫りになった。今後は,高く評価されている活動を続けていくとともに,各利用者カテゴリー(データ作成者/キュレーター/再利用者,専門家/経験者/非経験者)別にニーズを把握し,選択的にサービスを強化していく必要がある,としている。

Ref:
http://www.dcc.ac.uk/docs/DCC_Evaluation_Report_Final.pdf
http://www.dcc.ac.uk/
http://www.dcc.ac.uk/resource/curation-manual/
E178