E353 – 公共図書館のインターネット基盤整備状況(米国)

カレントアウェアネス-E

No.62 2005.07.20

 

 E353

公共図書館のインターネット基盤整備状況(米国)

 

 ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と米国図書館協会(ALA)の助成によってフロリダ州立大学が行った,公共図書館におけるインターネット環境の整備状況に関する調査の報告書が,6月1日付で発表された。

 この調査は全国の図書館のうち6,865館に調査票を配布する方式で行われ,34州5,023館から回答があった。報告書によると,ほぼすべて(98.9%)の公共図書館に,インターネットに接続できるコンピュータが置かれているほか,18%の図書館では無線によるインターネットへのアクセスも整備されており,来年までに導入する予定の図書館も21%あった。また,1990年代初頭には年間5億人であった来館者数が現在は年間12億人に増加したとの結果も報告されているが,ALAのブレイ=カジアーノ(Carol Brey-Casiano)会長は,インターネットを利用するために図書館に来る人が増えたことも一因ではないかとのコメントを発表している。

 ただし,地方の図書館においては,都市部の図書館に比べて「インターネットへの接続速度が遅い」「端末が古い,利用者のニーズに合った端末の数が少ない」「インターネットを利用するための訓練の機会が少ない」といった課題もある。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は,こうした状況を改善するため,18州2,000館の図書館に対して端末整備などのための助成(約3,000万ドル=約34億円)を行う予定である。

Ref:
http://www.ii.fsu.edu/publications/2004.plinternet.study.pdf
http://www.libraryjournal.com/article/CA621484.html