カレントアウェアネス-E
No.387 2020.03.12
E2240
NDL，国会会議録など4つの検索サービスをリニューアル
調査及び立法考査局議会官庁資料課
国立国会図書館（NDL）は，国会の会議録や法律に関する情報を提供する4つの検索サービス（国会会議録検索システム，帝国議会会議録検索システム，日本法令索引，日本法令索引〔明治前期編〕）を2019年12月23日にリニューアル公開した。
今回のリニューアルでは，全般的にアクセシビリティ及びユーザビリティの向上を図り，画面レイアウトやユーザ導線の大幅な見直しを行うなど，多くの人に使いやすいデザインを心掛けた。トップページの「キーワード」欄で主要な検索項目を横断的に検索できる，「詳細検索」ボタンで詳細検索用の検索項目が展開する，検索画面から検索結果一覧画面，さらに詳細表示画面の順に遷移する等，可能な限り機能を共通化し，全体としての統一感も持たせた。
各サービスの概要と主な改善点は，次のとおりである。
●国会会議録検索システム
第1回国会（1947年5月開会）以降の本会議，委員会等の会議録の検索と，テキスト及び紙面画像の閲覧ができるデータベースであり，衆議院・参議院と共同で構築している。1999年1月にインターネットで試行提供を開始して以来，これまで収録範囲の拡大，PDFファイルの提供，検索APIの公開などの機能追加と改善を重ねてきた。今回のリニューアルで，従来は検索できなかった会議録末尾部分（議案の本文，投票者氏名，請願，質問主意書・答弁書等）及び目次・索引・追録・附録の検索を可能にした。なお，会議録末尾部分等の検索可能な範囲は，2020年2月時点で第191回国会（2016年8月）以降であるが，今後順次拡大していく予定である。
●帝国議会会議録検索システム
帝国議会会議録検索システムは，2005年7月にインターネットでの提供を開始した。帝国議会の全ての会期の本会議，委員会等の議事速記録をPDFで閲覧できるほか，戦後分（第88回帝国議会（1945年9月開会）から第92回帝国議会（1946年12月開会）まで）については発言部分のテキストも収録しており検索が可能である。今回のリニューアルでは，全体のデザインや基本的な機能を見直し，国会会議録検索システムと同じような感覚で検索・閲覧できるようにした。●日本法令索引及び日本法令索引〔明治前期編〕
2004年6月及び2007年1月にインターネット提供を開始したこれらのデータベースは，国立国会図書館法第8条に基づいてNDLが作成しているものであり，国の法令（憲法，法律，条約，政令，府省令，立法・行政・司法各機関の規則類，告示・訓令等）及び法案（法律案及び条約承認案件）の索引情報を調べることができる。公文式（明治19年勅令第1号）の施行を境として，それ以降の法令を日本法令索引に，それ以前の法令を明治前期編に収録している。日本法令索引の場合，今回のリニューアルでこれまで6種類あった検索画面を統一し，最大3種類あった索引情報（改廃の履歴，被改正法令及び国会・帝国議会における審議経過）を1画面で参照できるよう見直しを行った。また，法律や条約の成立・承認年月日，議員提出法案の提出者全員の氏名等を検索対象に追加し，成立日によって法律を探したり，特定の議員が提出した法律案を調べたりすることもできるようにした。このほか，本文情報が掲載されているウェブサイトへのリンクや，審議経過が掲載されている国会会議録・帝国議会会議録へのリンクも見やすくした。
国会会議録検索システム及び日本法令索引には，立法活動の各過程で発生する情報が順次採録されていく。例えば，法律案が国会に提出されると，NDLではその情報を日本法令索引に採録する。国会の委員会や本会議で審査・審議が行われ，その会議録が発行されると，会議録のテキスト・画像を国会会議録検索システムに，審議経過が掲載されている箇所の情報を日本法令索引に採録する。成立した法律，関連して策定された法令（政省令・規則等）が官報で公布されると，それらの情報を日本法令索引に採録する。大半の法律は，再度このサイクルを経て改正・廃止されるが，その改廃の情報も日本法令索引に採録する。こうした立法過程について，法令・法案の索引情報，また会議録から調べることができる各サービスを，ぜひ業務や研究に活用いただきたい。
なお，『国立国会図書館月報』708号（2020年4月刊行）にも，基本的な使い方を紹介する記事を掲載予定である。併せて参照されたい。
Ref:
https://kokkai.ndl.go.jp/
https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/
https://hourei.ndl.go.jp/
https://dajokan.ndl.go.jp/
