E2048 – 大阪府北部を震源とする地震による図書館等への影響

カレントアウェアネス-E

No.352 2018.08.09

 

 E2048

大阪府北部を震源とする地震による図書館等への影響

 

 2018年6月18日に大阪府北部を震源とする地震が発生し,様々な被害が生じた。本稿では,2018年8月8日までの情報を基に,地震の影響を受けた図書館等の状況を中心に紹介する。

●図書館への影響

 大阪府・京都府・和歌山県・兵庫県・奈良県内の多くの公立図書館,大学図書館が臨時休館または閉館時間の繰り上げを発表した。また,大阪府立中之島図書館(大阪市)をはじめ,被害を受けた幾つかの図書館が,ウェブサイトやSNSで,被害の状況を公表した。そのような中,大阪府立中之島図書館は,この地震に関する情報を発信するウェブサイト・ウェブページへのリンクのほか,同館及び大阪府立中央図書館(東大阪市)が所蔵する地震・災害関係の資料を紹介した過去のメールマガジンや展示へのリンクも掲載したページを公開している。
https://twitter.com/osaka_pref_lib/status/1008531793002180610
https://twitter.com/osaka_pref_lib/status/1008592204078518272
http://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?key=jocxd46z1-510
https://twitter.com/suita_toshokan/status/1008939683441664001
https://twitter.com/OsakaUnivLib/status/1008985564056412160
https://twitter.com/OsakaUnivLib/status/1008985568888250369
http://www.library.pref.osaka.jp/site/osaka/osaka-jishin2018.html

 その後,多くの館では数日で再開が発表されたが,被害等のために再開が遅れた館もあった。池田市立図書館本館(大阪府)は,書架の耐震補強工事及び安全確認のため6月22日まで,島本町立図書館(大阪府)は,天井の破損やひび割れの復旧のため7月9日まで,茨木市立図書館大池・豊川・太田分室(大阪府)は,施設が避難所となったため7月21日まで,臨時休館・休室した。なお,吹田市立図書館山田分室(大阪府)では,エレベーターが使用できないほか,一部近付けない本棚があったが,8月4日に復旧した。
https://twitter.com/ikedaokanouelib/status/1010065932952072192
https://www.town.shimamoto.osaka.jp/news/post_8.html
http://www.lib.ibaraki.osaka.jp/?page_id=198
http://www.lib.suita.osaka.jp/index.php?key=jo3ltyrn2-1208
http://www.lib.suita.osaka.jp/index.php?key=joj7b1te4-1208

 現在も,休館中または資料や施設の利用に一部制限のある館が見られる。公立図書館では,寝屋川市立中央図書館(大阪府)が天井の破損等によるアスベスト対策のため休館している。高槻市立小寺池図書館・阿武山図書館(大阪府)では,地震による図書館施設の補修のため,館内閲覧を停止している。大阪府立中之島図書館では,地震の影響により,一部の資料の利用を停止している。茨木市立図書館白川分室(大阪府)では,本棚が一部破損しているため閲覧・貸出のできない図書がある。
http://www.city.neyagawa.osaka.jp/shisetsu/comyu/1422258506114.html
https://www.library.city.takatsuki.osaka.jp/opw/OPW/OPWNEWS.CSP?PID=OPWNEWSLIST&DB=LIB&MODE=1&LIB=&TKAN=ALL&CLASS=1&IDNO=101138
https://twitter.com/osaka_pref_lib/status/1013697561989808128
http://www.lib.ibaraki.osaka.jp/?page_id=198

 大学図書館では,大阪大学附属図書館(大阪府豊中市,吹田市,箕面市)で,一部利用できないサービス・資料を公表している。関西大学人権問題研究室の図書資料室(大阪府吹田市)では,復旧中のため入室を停止し,職員を通じた資料提供を行っているほか,被害を受けたため利用できない資料がある。
https://www.library.osaka-u.ac.jp/unavailable_services/
http://www.kansai-u.ac.jp/hrs/news/2018/06/post-1.html

 また,公益財団法人交通文化振興財団(大阪市)では,事務所の本棚の転倒等により,所蔵する書籍の公開を停止している。
https://twitter.com/kotubunka/status/1008891346814287872
http://blog.canpan.info/koutsubunka/archive/89

●博物館等への影響

 博物館,美術館,資料館等についても,多くの館が臨時休館を発表した。その後ほとんどの館が再開した一方,現在も休館中または資料の利用に一部制限のある館が見られる。高槻市立今城塚古代歴史館(大阪府)では,常設展示室の利用を停止している。国立民族学博物館(大阪府吹田市)では,休館を継続しているが,8月23日に本館展示場Bブロック(音楽,言語,企画展示場,南アジア,東南アジア)の展示及び図書室を再開し,9月13日に残りの本館展示場A,Cブロックの展示を再開することを発表している。なお,大阪大学が管理しており建物内で常設展示も行っている適塾(大阪市)では,一般公開を再開しているものの,当面傷ついたままでの公開となっている。
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/ansin/kisyou_oshirase/sisetsu/1529399567443.html
http://www.minpaku.ac.jp/
http://www.tekijuku.osaka-u.ac.jp/front-page/?searchterm=None

●被災地を支援する動き

 6月18日から6月19日午前9時まで,南丹市(京都府)が,同市の中央図書館,文化博物館等47拠点で利用できる公衆無線LANサービス「Nantan Free Wi-Fi」の災害時用ネットワークを開放した。
https://www.facebook.com/city.nantan.kyoto/posts/594624807584548

 6月18日,国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)が,被災地における災害対応支援を目的として,同研究所が運用する府省庁防災情報共有システム(SIP4D)に収集された情報を目的別に集約・公開する「平成30年(2018年)大阪府北部を震源とする地震 クライシスレスポンスサイト」を公開した。
http://crs.bosai.go.jp/DynamicCRS/index.html?appid=7f61007cafa949708cd5471bc6c52188

 6月27日,日本医学図書館協会(JMLA)が,被災地の大学・病院・医療機関等に無償で文献複写サービスを提供するなどの支援を行っている会員館の情報をまとめたページを公開した。
http://plaza.umin.ac.jp/~jmla/info/info.html
http://plaza.umin.ac.jp/~jmla/info/hisaichi_kanrentaio_2018.html

●被災資料保全のための動き

 6月18日から,西日本自然史系博物館ネットワークが,自然史系博物館での被害状況を公開するとともに,被害等の情報や相談を受け付けている。
http://www.naturemuseum.net/blog/2018/06/2018618.html

 6月20日から,歴史資料ネットワークが,緊急事務局体制を取り,歴史資料・文化財などの被害状況を寄せるよう呼び掛けるとともに,資料の処置方法に関する相談にも回答すると発表している。
http://siryo-net.jp/info/201806-osaka-eq/

●図書館等関係団体の動き

 6月20日,日本図書館協会(JLA)が,大阪府・京都府内の震度5強の揺れのあった公共図書館の開館状況・被害状況等に関する情報を掲載した。
http://www.jla.or.jp/home/news_list/tabid/83/Default.aspx?itemid=4056

 6月21日,全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)が,「大阪北部地震 資料保存利用機関等被災状況」を公表し,6月28日にも情報を更新している。
http://jsai.jp/rescueA/Osaka2018/201806EQ1.html

 文部科学省が,学校施設,社会教育・体育・文化施設,文化財,同省関係の独立行政法人等における被害情報を公開している。
http://www.mext.go.jp/a_menu/osakahokubujisin/index.htm

●刊行物

 『図書館雑誌』112巻7号(2018年7月)が,大阪府・京都府内の震度5強の揺れのあった公共図書館の6月20日現在の状況をまとめた「大阪北部地震 図書館関係情報」を掲載した。
NEWS 大阪北部地震 図書館関係情報. 図書館雑誌. 2018, vol. 112, no. 7, p. 437.

関西館図書館協力課調査情報係