E1490 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2013/10/21現在)

カレントアウェアネス-E

No.247 2013.10.24

 

 E1490

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2013/10/21現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1466ほか参照)に続き,2013年8月下旬から10月中旬にかけての主な情報をまとめた。

●被災地の図書館等の活動

 8月29日,気仙沼図書館唐桑分館(宮城県)が,気仙沼市立唐桑幼稚園の敷地内に新たに建築され,開館式が行われた。
http://www.library.pref.miyagi.jp/kotobanoumi/pdf/4500.pdf
http://www.lib-kesennuma.jp/karakuwacommunitylibrary20130822.pdf

 9月5日,宮城県亘理町の荒浜小学校の図書室が,全国から寄贈された図書を活用して2年半ぶりに再開した。現在の蔵書数は,震災前の6割程度の3,700冊となっている。
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20130906_06.htm
http://www.watari-arahama.myswan.ne.jp/homepage/

 9月9日,東京大学総合研究博物館が岩手県大槌町の公民館内に,同大学の教職員から寄せられた一般書や事典,児童書等3,500点の資料を配架した「大槌文化ハウス」を開設した。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20130911_10
http://utf.u-tokyo.ac.jp/2013/09/post-4106.html

 10月1日,東日本大震災において津波の被害を受け,総合事務所や公民館で業務を行ってきた宮古市立図書館田老分室(岩手県)は,復旧工事が完了し,元の場所での業務を再開した。
https://www.facebook.com/311info/posts/660173607333616

 10月19日,大船渡市立図書館(岩手県)が,ビジネス支援コーナーを開設した。国,県,関係団体等の助成制度に係るパンフレット等も提供している。
http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2013/m10/h1310202.html
http://www.city.ofunato.iwate.jp/www/contents/1382091435704/index.html

●デジタルアーカイブに関する動き

 9月4日,Googleが,東日本大震災で津波の被害をうけた岩手県,宮城県沿岸部のストリートビュー画像を更新し,福島県内の避難指示区域を含む沿岸部のストリートビューを新たに公開したと発表した。
http://googlejapan.blogspot.jp/2013/09/tohokusv.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1309/04/news095.html

 9月12日,ハーバード大学が進めている2011年東日本大震災デジタルアーカイブが,トップページをリニューアルし,さらに機能やコンテンツを新たに追加したと発表した。
http://jdarchive-news.tumblr.com/post/61059285934/new-content-and-features-for-2013-2013

 10月1日,日本赤十字社の赤十字原子力災害情報センターが,原子力災害に関する各種情報・データを収集,発信するデジタルアーカイブを公開した。企画展「救援者たちの証言集 -福島赤十字病院-」,「福島第一原発事故 日赤支援活動の軌跡 -パート1-」等のコンテンツを掲載している。なお「赤十字原子力災害情報センター」は10月1日付けで東京・港区の本社内に設置されたものである。
http://ndrc.jrc.or.jp/
http://www.jrc.or.jp/press/l3/Vcms3_00003942.html

 10月1日,日本デザイン振興会が主催する2013年度のグッドデザイン賞が発表され,首都大学東京渡邉英徳研究室,宮城大学中田千彦研究室による東日本大震災アーカイブが「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれた。
http://www.g-mark.org/award/describe/40598?token=Wes0Xk97Ue
http://nagasaki.mapping.jp/p/japan-earthquake.html

●イベント・刊行物・その他

 『図書館雑誌』(Vol.107 No.9, 2013年9月号)に川島宏氏による「大熊町図書館の調査報告: 原発4キロ圏の図書館」が掲載された。

 『博物館研究』が2013年10月号で「災害に強い文化遺産の保全を目指して」と題した特集を組んでいる。
http://www.j-muse.or.jp/03books/ms.php

 福島県立図書館職員が「東日本大震災福島県復興ライブラリー」の資料を実際に読み,感じたことを伝えるブックガイドのNo.4を9月4日に,No.5を10月10日に公開した。
http://www.library.fks.ed.jp/guide4.pdf
http://www.library.fks.ed.jp/guide5.pdf

 9月20日,日本青年会議所が主宰する第27回人間力大賞において,東日本大震災の被災地に図書館を設置するボランティア団体「みんなのとしょかん」プロジェクトの代表,川端秀明氏が,衆議院議長奨励賞,全国知事会奨励賞,日本放送協会奨励賞の3賞を受賞し,授賞式が行われた。
http://www.mintosho.org/archives/2592
http://www.jaycee.or.jp/ningenryokutaisyo/2013jusho/index.html#aw10

 10月8日,北海道ブックシェアリングが,フリーマガジン『ブックシェアリング』を創刊した。創刊号のPDF版をウェブで公開した。創刊号には,「コラム:震災と読書空間:『ほんの森』は消えたのか?」「復興の読書空間:うめばたけ こども図書室」「震災 そのとき図書館は1:陸前高田市立図書館」等の記事が掲載されている。
http://ameblo.jp/booksharing/entry-11631371458.html

 10月8日,英国オックスフォード大学のPitt Rivers Museumが東日本大震災の陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトの活動に関する展覧会”Surviving Tsunami: Photographs in the Aftermath of the Great East Japan Earthquake”を開始した。
http://tsunami-311.org/?p=1541
http://www.prm.ox.ac.uk/rd3.html

 10月12日,北海道千歳市民文化センターで震災のドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」の上映会が行われた。上映会場では,宮城県の石巻日日新聞社の記者たちが,東日本大震災翌日から6日間にわたり手書きで発行した壁新聞が展示された。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/497659.html
http://www.tomamin.co.jp/2013094976

 10月20日,科学研究費補助金基盤研究(S)「大規模自然災害時の史料保全論を基礎とした地域歴史資料学の構築」研究グループが,災害資料の収集・活用の事例を学び,災害の記憶を継承し,災害文化を形成していく方法について考える災害資料フォーラム「阪神・淡路大震災から東日本大震災へ」を開催した。
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~chiiki/oshirase.html

(関西館図書館協力課調査情報係)