E1464 – オンライン資料収集制度(愛称:eデポ)の開始

カレントアウェアネス-E

No.242 2013.08.08

 

 E1464

オンライン資料収集制度(愛称:eデポ)の開始

 

 2013年7月1日,改正国立国会図書館法の施行に伴い,国立国会図書館(NDL)は,「オンライン資料収集制度」(愛称:eデポ)を開始した。「オンライン資料」とは,インターネット等で出版(公開)される電子情報で,図書または逐次刊行物に相当するもの(電子書籍・電子雑誌等)である。

 NDLは2010年4月から「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」(WARP)として,国等の公的機関が出版するオンライン資料やそれらを含むウェブサイトを国立国会図書館法に基づき制度収集してきたが(E1046参照),公的機関以外の者が出版するものについては許諾を得られたものを収集するに留まっていた。しかし,公的機関以外の者が出版する重要な資料が紙媒体からウェブ版へ移行していることや,電子書籍,電子雑誌等が広く社会に普及し始めていることに鑑み,このたび法整備が行われ公的機関以外の者が出版するオンライン資料についても,NDLへの納入が義務付けられたのである。

 納入義務対象となる資料は,2013年7月以降に公的機関以外の者が出版するオンライン資料のうち,無償かつデジタル著作権管理(DRM)が付されていないもので,(1)特定のコード(ISBN,ISSN,DOI)が付与されたもの,または(2)特定のフォーマット(PDF,EPUB,DAISY)で作成されたものである。例えば,企業,私立大学,公益法人等のウェブサイト上にPDF形式等で公開されている,年鑑,要覧,機関誌,調査報告書,事業報告書,学術論文,紀要,技報,ニュースレター,小説,実用書,児童書などが該当する。

 一方で,納入義務対象から除外されるオンライン資料は次のものである。(1)簡易なもの(各種案内,ブログ,ツイッター,商品カタログ,学級通信等),(2)以前にオンライン資料として納入されたものから内容に増減・変更がないもの,(3)申込み・承諾等の事務が目的であるもの(電子商取引等),(4)紙の図書・雑誌と同一版面である旨の申出があり,確認されたもの,(5)長期利用目的でかつ消去されないもの(大学の機関リポジトリ等)。なお,有償の資料やDRMが付されたものについては,適切な納入の在り方について検討を進めているところである。

 オンライン資料の納入義務者は,オンライン資料をインターネット等により広く公衆に利用可能とし,または送信した者である。出版社だけではなく,個人も納入義務者となる。出版者と頒布者(電子書店等)が異なる場合には,原則として,出版者が納入する。また,紙媒体とオンライン資料の両方で出版している場合は,紙媒体を納本制度に従いNDLに納本していただく必要があるが,オンライン資料については紙媒体と同一版面であれば納入義務はない。

 オンライン資料の納入を手軽に行えるのは,「申出による自動収集」である。この方法では,納入義務者は当館のウェブサイト「オンライン資料の納入」にある申込フォームから納入申込をすることができる。これを受けNDLが機械的に収集する。ちなみに,定期的にウェブサイトで公開するような雑誌新刊等を納入する場合には,フォームにその旨を記載していただければ,その後はNDLが定期的に自動収集する。また,「申出による自動収集」が技術的に難しい場合には,NDLの送信システムを使ってファイルとメタデータをアップロードする「送信による収集」や,納入義務者がDVD-R等にファイルとメタデータを格納してNDLに郵送する「媒体送付」といった方法を当館からご案内する。ただし,「送信による収集」はまだ実施しておらず,2014年早期に運用を開始する予定である。

 収集したオンライン資料は,2013年10月から,NDL館内(東京本館,関西館,国際子ども図書館)において,来館者に対して閲覧サービスを提供する予定である。NDLでは,紙媒体の資料だけでなく,オンライン資料も日本の文化的財産として収集,保存し,日本国民の知的活動の記録として後世に継承していく。ぜひオンライン資料収集制度をご理解いただき,オンライン資料の納入にご協力をお願いしたい。

(関西館電子図書館課)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/online_data.html
https://www.dl.ndl.go.jp/online
E1046