E1239 – オープンアクセスに関するIFLAの取り組み

カレントアウェアネス-E

No.205 2011.11.25

 

 E1239

オープンアクセスに関するIFLAの取り組み

 

 IFLA(国際図書館連盟)は,2011年10月11日に,オープンアクセス(OA)に関するタスクフォースを設立することを発表した。IFLAは2010年11月にOAに関するベルリン宣言(E144参照)に署名し,2011年4月にはOAに関する声明を発表している。声明は,IFLAの立場と戦略を明確にするためのもので,以下のような内容を含むものである。

  • 学術コミュニケーションにおいては研究の質や研究情報の保存等,OA以外にも多くの取り組む価値のある目標があるが,IFLAはアクセスの問題に焦点を当てる。
  • 学術雑誌の急激な価格上昇により,現在主流の学術コミュニケーションモデルは維持困難である。財政的に恵まれた研究図書館でも必要な資料の全ては購入できない状態であり,発展途上国の小規模大学等では問題はさらに深刻である。
  • 現在のモデルには関係者の不満が高まっている。著者にとっては,自分の論文を多くの人に見てもらえないことや著作権の移転で自身による利用が制限されることがあり,読者にとっては,必要な文献が入手できず研究活動に影響があることがある。そして社会全体としても,情報流通が不十分なためイノベーションや発展を妨げる要因となっていることがある。
  • OAのメリットとしては,研究者にとっては自身の研究成果への認知度が高まること,研究機関にとってはその強みを宣伝できること,出版社にとっては読者層の拡大等が見込まれることがある。OAは先進国と途上国の間のみならず,途上国間でも知識の流通を促進する。
  • 図書館は,OAの発展のための基盤整備や利用者向けサービス等において重要な役割を果たす。大学図書館・研究図書館の図書館員は,研究者,事務部門,出版社等に対して説明や協力等の活動を行ってきている。
  • 国連やUNESCO,WHO,WIPO等の国際機関と協力し,公的資金による研究や教育資源,文化遺産のOA化を促進する。
  • OAの推進活動を行っているSPARCやCOAR等の組織や活動と連携し,重複でなく相乗効果を生む取り組みを行う。
  • OAはIFLAの2010-2015年の戦略計画の柱であり,IFLAの加盟館に対し,国レベルでのOAの促進,図書館員によるOA促進,国・地方レベルでの情報基盤の整備等を呼びかける。
  • IFLAの刊行物をOAとするための移行計画を作成する。

 タスクフォースが取り組む課題としては,(1) 国連の機関でのOA方針の採択・促進を呼びかける,(2) 加盟館において,ケーススタディやベストプラクティスの作成を通じ,国レベルでのOA方針の採択に向けた活動能力を高める,(3) OA活動を行っている組織と連携する,の3点が挙げられている。そして,2011年12月のIFLAの運営理事会でロードマップを提示するとともに,国レベルの図書館団体がどのように国内の方針を促進できるかについての調査を行うとしている。

Ref:
http://www.ifla.org/en/news/ifla-open-access-taskforce-established
http://www.ifla.org/en/news/just-released-ifla-statement-on-open-access
http://www.ifla.org/files/hq/news/documents/ifla-statement-on-open-access.pdf
http://oa.mpg.de/lang/en-uk/berlin-prozess/signatoren/