E1050 – 第7回中国国民読書調査の調査結果が発表される

カレントアウェアネス-E

No.171 2010.05.19

 

 E1050

第7回中国国民読書調査の調査結果が発表される

 

 中国出版科学研究所は2010年4月19日に第七次全国国民閲読調査(第7回国民読書調査)の調査結果を発表した。この調査は中国国民の読書に関する様々な傾向を調査するために1999年に開始されたものである。以降,2002年(第2回),2004年(第3回)と数年おきに実施され,2006年(第4回)からは毎年実施されている。今回の第7回の調査では2009年の中国国民の読書傾向が調査対象となり,中国の57の都市でサンプル調査が行われた。回収した回答は22,164件で有効回答数は19,005件である。うち,18歳未満の未成年が有効回答の23.1%を占めている。以下,成年(18歳~70歳)に対する調査の結果を中心に,概要を紹介する。 なお,括弧内の数字は2008年の調査結果である。

(1)成年(18歳~70歳)

  • 読書率
     総合読書率(図書,雑誌,新聞,電子出版物など全ての媒体)は72.0%(69.7 %)だった。媒体別では,図書:50.1%(49.3%) ,雑誌:45.6%(50.1%),新聞:58.3%(63.9%),電子出版(物):24.6%(24.5%)となった。
  • 電子出版(物)
     上の「読書率」で電子出版(物)を読んだと回答した者が電子出版(物)の読書に利用した手段の比率は,インターネット:16.7%(15.7%),携帯電話:14.9%(12.7%),PDA・電子辞書など:4.2%(4.2%),光ディスク:2.3%(3.3%)となった。また,電子出版(物)の年齢別の読書率は18-29歳:49.1%,30-39歳:24.8%,40-49歳:13.4%,50-59歳:6.1%,60-70歳:3.5%であった。
     電子化された出版物を利用したことがあると回答した者のうち,52.1%が書籍データを有料でダウンロードすることを受け入れると回答している。電子書籍の許容できる価格の平均は3.45元(参考:許容できる紙の書籍の価格の平均:11.17元)であった。
  • 各媒体の1日の平均読書時間
     各媒体の1日の平均読書時間は,図書:14.70分,雑誌:15.40分,新聞:21.02分,ネット利用時間(ネット上での読書時間含む):34.09分,携帯電話での読書:6.06分となった。
  • 著作権の認知度
     著作権に対する認知度:74.6%(71.5%),海賊版を購入したと回答した者:16.1%(25.2%)となった。著作権の認知度は上昇傾向にある。
  • その他
     中国国民が最も好きだと答えた10の作品と10人の作家はそれぞれ以下の通りである。作品では1位『三国演義』,2位『紅楼夢』,3位 『水滸伝』,4位 『西遊記』,5位 『圍城』,6位 『簡愛』(C. ブロンテ著『ジェーン・エア』),7位 『射雕英雄伝』,8位 『鋼鉄是怎様煉成的』(N. オストロフスキー著『鋼鉄はいかに鍛えられたか』),9位 『天龍八部』,10位 『方與圓』となった。作家では1位 金庸,2位 魯迅,3位 瓊瑶,4位 曹雪芹,5位 古龍,6位 巴金,7位 郭敬明,8位 老舍,9位 冰心,10位 羅貫中となった。

(2)未成年(18歳未満)

 未成年(18歳未満)の読書率は79.0%(81.4%)である。年齢別の読書率は0-8歳:69.8%(72.3%),9-13歳:89.4%(93.5%),14-17歳:80.2%(79.0%)となった。
 調査結果によると,25.2%の未成年が1歳になる前に読書を開始しており,78.9%の未成年が3歳までに読書を開始しているという。

 なお2002年,2004年,2006年,2008年に行われた本調査の報告書は刊行されているが,今回の調査報告書が刊行されるかどうかはまだ発表されてはいない。中国の読書事情に関する貴重な資料であるため,刊行されることを期待したい。

(関西館図書館協力課・安藤一博)

Ref:
http://www.chuban.cc/yw/201004/t20100419_68758.html
http://www.chuban.cc/ztjj/yddc/2010yd/