ワシントンD.C.公共図書館、新中央館建設は白紙に、開館時間も大幅減の危機に

米国ワシントンD.C.公共図書館(DCPL)では、ウィリアムス(Anthony A. Williams)前行政長官時代に立案した計画により、新中央館を旧コンベンションセンター跡地(現在は駐車場)に建てる予定でした。計画では、2008年夏に着工となっていました。ところが、2007年1月からのフェンティ(Adrian Fenty)行政長官は、分館のリノベーションが重要であるとして、新中央館建設計画を破棄しました。当初の建設予定地には、ホテルと商業施設の複合施設の建築が予定されているとのことです。新中央館建設をめぐっては、「既存の分館をリノベーションして中央館とすべき」等、これまでもいくつかの議論があったところなのですが、引き続き混迷が続く模様です。

また「分館のリノベーションが重要である」とされながら、特別区の財政難のため、DCPLの2009年度予算は前年度比1万6千ドル(約172万円)の増額に留まり、物価・必要経費の上昇見合い分205万ドル(約2.2億円)に大きく及びませんでした。このまま10月までに資金を調達できないと、分館の金曜日閉館など週15~16時間の開館時間の削減と、利用の少ない小規模分室の閉鎖を余儀なくされる見通しです。行政長官側は図書館に、図書館友の会側は特別区議会にそれぞれ、「この危機を回避すべく、2億円の財源を見つけることに注力してほしい」と申し入れています。

Plans Dashed for New DCPL Central Site – Library Journal
http://www.libraryjournal.com/article/CA6566462.html

DCPL Capital Construction Initiatives
http://dclibrary.org/dcpl/cwp/view.asp?a=1273&q=566653
(※当初の新中央館建設計画)

D.C. Public Library Weighs Impact of Budget Cuts – American Libraries online
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2008/july2008/dcplbudgetthreats.cfm

Libraries In D.C. Plan Cuts In Hours – washingtonpost.com
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/07/29/AR2008072902062.html

参考:
E447 – コロンビア特別区公共図書館の再構築計画案
http://current.ndl.go.jp/e447

ワシントンD.C.公共図書館の建て替え案に異論
http://current.ndl.go.jp/node/3845