公共図書館での貸出が近隣の書店での同タイトルの書籍の売り上げをどの程度減らすか(文献紹介)

2022年8月15日付で、雑誌”Journal of the Japanese and International Economies”の66巻に、香港科技大学の川口康平氏と東京大学の金澤匡剛氏による共著論文“Displacement effects of public libraries”の最終公開版(Version of Record)がオープンアクセスで掲載されています。

日本において公共図書館での貸出が近隣の書店での同タイトルの書籍の売り上げをどの程度減らすかを論じています。書店の販売データと公共図書館の所蔵データを統合したデータセットを作成し、公共図書館の影響を定量化しています。結果として、ベストセラー本では1か月あたり0.52部、図書館の所蔵が同じ地域の書店の売り上げを置き換えていること等が分かったとしています。

Kawaguchi, Kohei; Kanazawa, Kyogo. Displacement effects of public libraries. Journal of the Japanese and International Economies. 2022, 66, 101219.
https://doi.org/10.1016/j.jjie.2022.101219

参考:
稲垣行子. 電子書籍を中心とした公貸権制度の2005年以降の国際動向. カレントアウェアネス. 2021, (350), CA2011, p. 14-19
https://doi.org/10.11501/11942244