Google Scholarの引用データに含まれるエラーについての調査(文献紹介)

2022年5月27日、オープンアクセス(OA)の査読誌“Journal of Medical Internet Research”の24巻5号に“Types of Errors Hiding in Google Scholar Data”が掲載されました。著者はフランスのクレルモン・オーベルニュ大学のRomy Sauvayre氏です。

Google Scholarを利用した科学計量研究の一般的なツールであるPublish or Perish(PoP)ソフトウェアを用いて、ニューロイメージング分野のポスター発表1件と論文1件の引用データを抽出し、その書誌情報の正確性や誤引用の有無等を確認しています。結果、抽出された281件のデータのうち279件が少なくとも1つのエラーを含んでいたこと、非学術文献は学術文献に比べエラーが多かったこと等が分かったと報告されています。

結論部では、Google Scholarのデータを、検証やデータクリーニングを行わずに使用した場合、その研究の信頼性は疑問視されると指摘しつつ、少量のサンプルに綿密な検証を実施できる場合には、特に会議録等論文以外のドキュメントの引用データ取得についてGoogle Scholarが有用であると述べています。

Sauvayre R. Types of Errors Hiding in Google Scholar Data. Journal of Medical Internet Research. 2022, 24(5), e28354.
https://doi.org/10.2196/28354

参考:
Google Scholar、学術雑誌のインパクト指標を2021年版に更新
Posted 2021年7月26日
https://current.ndl.go.jp/node/44478

Google Scholar、著者プロフィールページに「公開アクセス」欄を追加:研究助成機関の情報に基づきオープンアクセス(OA)義務対象の論文を表示
Posted 2021年3月26日
https://current.ndl.go.jp/node/43670