2021年7月24日付で、オープンアクセスの査読誌“Weave: Journal of Library User Experience”のVolume4 Issue1に、米・テキサス工科大学のRachel Rayl氏による論文“How to Audit Your Library Website for WCAG 2.1 Compliance”が掲載されました。
2020年春に同大学図書館のウェブサイトを対象に行われた、Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)2.1準拠状況の試験プロジェクトについてまとめられています。同プロジェクト用の予算は割り当てられなかったものの、Rayl氏がコーディングとWCAGに精通していたため、外部に委託しない形で実施し、無料のツールを用いることで費用を抑えたとあります。また、プロジェクトは、特定の期限を設定せずに、フルタイムの職員1人とパートタイムの学生1人で実施されました。
試験は、以下の4段階のプロセスで行われました。
1.準備:試験対象のウェブページのリストの整理
2.訓練:HTMLの基礎とWCAGのウェブサイトの見方を学ぶ
3.試験:ウェブページやページを構成する要素がWCAGに準拠しているか検査を行う
4.報告:試験の結果を整理し、修正すべき点がわかりやすいようにまとめる
考察と推奨事項の箇所では、ウェブサイト担当者だけでなく全ての図書館員に検査期間中はウェブページの変更を行わないよう依頼する必要があること、「訓練」に時間を十分な割くべきであること、定期的な休憩や適切なサイズの椅子の使用が推奨されること等を挙げています。
Rayl, Rachel. “How to Audit Your Library Website for WCAG 2.1 Compliance”, Weave: Journal of Library User Experience. 2021, 4(1).
https://doi.org/10.3998/weaveux.218
参考:
障害のある学生12人へのインタビューに基づく米国の大学図書館ウェブサイトのアクセシビリティに関する課題と推奨事項(文献紹介)
Posted 2020年7月15日
https://current.ndl.go.jp/node/41510
ウェブアクセシビリティ基盤委員会、Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1の日本語訳を公開
Posted 2019年6月18日
https://current.ndl.go.jp/node/38375
オープンアクセスの査読誌“Weave: Journal of Library User Experience”が創刊
Posted 2014年10月7日
https://current.ndl.go.jp/node/27177