カナダ国立図書館・文書館(LAC)、第二次世界大戦中のホロコーストに関する重要資料を蔵書として受入:連合国陣営にホロコーストの進行を公式に報告した最も古い文書

2021年1月27日、カナダ国立図書館・文書館(LAC)は、第二次世界大戦中のナチスドイツ政権によるホロコーストについての重要資料を、同館の蔵書として受入したことを発表しました。

LACが新たに受入した資料は、1943年初頭にポーランド亡命政府が作成した16ページの英文報告書『ドイツ占領下のポーランドにおけるユダヤ人の大量殺戮(The Mass Extermination of Jews in German Occupied Poland)』です。同報告書には、ポーランド亡命政府の外務大臣が第二次世界大戦当時の連合国政府(Allied governments)宛に作成したレポートが含まれています。同レポートは、諜報活動に基づいて入手したポーランド系ユダヤ人大量殺害の詳細と、ワルシャワのユダヤ人居住区「ワルシャワ・ゲットー」から強制収容所への送還について報告した内容で、連合国陣営にホロコーストの進行を伝えた初めての公式文書であることを紹介しています。

LACは、同文書は連合国がホロコーストの存在をいつどの程度把握していたかを示していることなどから、第二次世界大戦当時、連合国の主要国であったカナダにとって、戦争中に果たした同国の役割等の理解に当たって重要な資料であり、カナダの歴史を反映した資料を収集するという同館の使命に合致したものである、としています。

LACは、ホロコーストの生存者を親に持つトロント在住者からの寄贈により、同文書を入手しました。

News Releases(LAC)
https://www.bac-lac.gc.ca/eng/news/news_releases/Pages/news-releases.aspx
※January 27, 2021欄に“Rare book from 1943 acquired by Library and Archives Canada—was one of first sources to sound global alarm about Holocaust in progress”とあります。

Rare book from 1943 acquired by Library and Archives Canada—was one of first sources to sound global alarm about Holocaust in progress(Government of Canada,2021/1/27)
https://www.canada.ca/en/library-archives/news/2021/01/rare-book-from-1943-acquired-by-library-and-archives-canadawas-one-of-first-sources-to-sound-global-alarm-about-holocaust-in-progress.html

参考:
CA1805 – ポーランドとその過去 ―国民記憶院の活動― / 梶さやか
カレントアウェアネス No.318 2013年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1805

独・アーロルゼン・アーカイブズ、ナチス政権の迫害に関する約2,600万点の文書をオンライン公開
Posted 2020年4月21日
https://current.ndl.go.jp/node/40815