オープンアクセス出版で使用されているライセンス(記事紹介)

2021年1月10日、出版系コンサルタント企業であるDeltaThinkのウェブサイトにて”News & Views: Breaking Out Open Access License Types”という題目で記事が公開されました。記事では、オープンアクセス出版で使用されているライセンスの調査結果が報告されています。

記事では、ライセンスの種別を寛容(permissive)と制限付き(restricted)に分類しています。寛容なライセンスにはCC-BY、CC-0、制限付きのライセンスには商業利用や改変を禁止しているCC BY-NC、CC BY-ND等が分類されています。

全体としては寛容なライセンスがより一般的に使用されており、制限付きのライセンスとの比率はおおよそ3:2となっています。オープンアクセスジャーナル内では比率が2:1であるのに対して、ハイブリッドジャーナルでは半々になっています。分野ごとの分析では、健康科学分野、特に医学分野では制限付きのライセンスがより大きな割合を占めているとしています。社会科学は、平均と比較すると制限付きのライセンスがわずかに多いことを報告しています。物理学、工学では、寛容なライセンスがより普及しているとしています。

まとめとして、オープンアクセスジャーナルでは寛容なライセンスが普及しているものの、制限付きのライセンスは依然として多く、減少の兆候は見られないとしています。また、Plan Sや英国研究・イノベーション機構(UKRI)の政策が今後使用されるライセンスに影響を与える可能性を指摘しています。

News & Views: Breaking Out Open Access License Types(DeltaThink, 2021/1/10)
https://deltathink.com/news-views-breaking-out-open-access-license-types/

参考:
オープンアクセス学術出版協会(OASPA)、加盟機関が2019年に出版したオープンアクセス論文のライセンス種類別統計を公表:2019年のCC-BY論文は約36万2,000本
https://current.ndl.go.jp/node/42871
Posted 2020年12月25日

cOAlition S、研究者の知的所有権を保護し不当なエンバーゴを抑止するための「権利保持戦略」を策定・公表
https://current.ndl.go.jp/node/41517
Posted 2020年7月16日

E2346 – 著作権とライセンスからみるオープンアクセスの現況
カレントアウェアネス-E No.406 2021.01.14
https://current.ndl.go.jp/e2346

オープンアクセス学術出版協会、加盟機関が2017年に出版したオープンアクセス論文のライセンス種類別統計を公開 2017年のCC-BY論文は21万9,627本
Posted 2018年6月19日
https://current.ndl.go.jp/node/36187

オープンアクセス学術出版協会、加盟機関が2016年にCC BYライセンスで出版したオープンアクセスの論文数を公表:2016年は18万9,529本
Posted 2017年5月29日
https://current.ndl.go.jp/node/34055

オープンアクセス学術出版協会(OASPA)、加盟機関が2015年にCC-BYライセンス下で出版したオープンアクセス(OA)の論文数を公開 2015年は160,955本
Posted 2016年7月19日
https://current.ndl.go.jp/node/32102

オープンアクセス学術出版協会(OASPA)、加盟機関が2014年にCC BYで出版したオープンアクセス(OA)の論文数を公開
Posted 2015年5月21日
https://current.ndl.go.jp/node/28526

OASPA加盟機関がCC BYで出版したオープンアクセスの論文数、2013年は120,972件、累計で399,854件に
Posted 2014年5月22日
https://current.ndl.go.jp/node/26185