プレプリントサーバbioRxivに2020年10月30日付で、米・スタンフォード大学のStylianos Serghiou氏らの研究グループによる論文“Assessment of transparency indicators across the biomedical literature: how open is open?”が掲載されています。
オープンリサーチ、透明性の高い研究実践、及びそれらのモニタリングの重要性はますます高まっていますが、毎週数万件単位の論文が新たに発表される生物医学分野では、これを手動で行うことは現実的ではありません。著者らの研究グループは、統計分析ソフトウェアRを活用した自然言語処理によって、「データの共有」「コードの共有」「利益相反の開示」「研究助成元の開示」「研究プロトコルの登録」の研究の透明性の測定に必要な5指標を同定するオープンソースの自動化手法を開発し、PubMed Centralに収録されたオープンアクセス(OA)論文約275万件に適用しました。
著者らは手法を適用した結果として、「利益相反の開示」「研究助成元の開示」については時間の経過とともに顕著な改善を確認できる一方で、「コードの共有」「研究プロトコルの登録」については時間が経過しても大きな変化が見られないことなどを報告しています。また、適用した結果から、研究の透明性の実践状況について、分野・国・雑誌・出版社を横断してマッピングした図をそれぞれ示しています。
著者らは一連の研究を通して、研究の透明性や再現性の監視・理解・促進についての取り組みをさらに推し進めるために、大規模で統合されたオープンデータベースの構築が可能になった、としています。
Assessment of transparency indicators across the biomedical literature: how open is open?(bioRxiv,2020/10/30)
https://doi.org/10.1101/2020.10.30.361618
参考:
E2018 – 「学術出版における透明性の原則と優良事例」第3版が公開
カレントアウェアネス-E No.345 2018.04.19
https://current.ndl.go.jp/e2018
米国国立医学図書館、PubMedに4つの変更を加えたと発表
Posted 2017年3月13日
https://current.ndl.go.jp/node/33647
アディクション医学研究の透明性と再現可能性の検証(文献紹介)
Posted 2020年8月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41719