2020年10月29日、欧州人文学デジタル研究基盤(DARIAH)は、欧州の文化遺産のデジタル化の課題等に関するポジションペーパーを公開したことを発表しました。
欧州各国は、文化遺産の効果的・効率的なデジタル化について深刻な課題に直面しています。文化遺産の80%以上のデジタル化が未完了であり、2025年までに完全なデジタル化を達成するという目標に向けて、戦略の再考が緊急に求められる一方で、古い技術でデジタル化された第一世代の文化遺産は、現在の高度なデジタル人文学の分析に堪える品質ではなくなった状況にあります。
DARIAHはこうした状況を踏まえて同ポジションペーパーを作成しました。このポジションペーパーは、欧州連合(EU)における文化遺産のデジタル化・デジタル保存等に関する2011年勧告への欧州委員会(EC)の評価プロセスの一環として、ECに提出されています。
ポジションペーパーでは、特定のデジタル人文学の手法に対するデジタル化済の既存の文化遺産コレクションの利便性への評価を進めること、Europeanaの研究に対する関わりを強化することなど、DARIAHのコミュニティによる見解が示されています。
ポジションペーパーの全文は、フランス国立科学研究センター(CNRS)が国営のリポジトリとして運営するオープンアーカイブシステムHyper Articles en Ligne(HAL)からダウンロードすることができます。DARIAHは近日中に、研究者・文化遺産専門家の双方から、ポジションペーパーで扱われたテーマに関するフィードバックを得ることを目的とした調査を実施する予定です。
DARIAH releases position paper on digitised cultural heritage(DARIAH,2020/10/29)
https://www.dariah.eu/2020/10/29/dariah-releases-position-paper-on-digitised-cultural-heritage/
Cultural Heritage Data from a Humanities Research Perspective: A DARIAH Position Paper(HAL)
https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-02961317
参考:
欧州委員会、EU加盟各国に対する資料デジタル化の促進等の勧告を承認
Posted 2011年11月1日
https://current.ndl.go.jp/node/19425
欧州委員会(EC)、欧州連合(EU)における文化遺産のデジタル化・デジタル保存等に関する2011年勧告の改訂に向けたパブリックコメントを実施中
Posted 2020年6月29日
https://current.ndl.go.jp/node/41372