米国の州図書館協会におけるロビー活動と政治的アドヴォカシー(文献紹介)

2020年8月28日付で、図書館のアドヴォカシー・政策・資金調達といったテーマを扱うオープンアクセス(OA)誌“The Political Librarian”の第4巻第2号に、論文“Lobbying and Political Advocacy: A Review of the Literature and Exploratory Survey of State Library Associations”が公開されています。

同論文は、図書館専門職におけるロビー活動と政治的アドボカシーの問題を、米国の州図書館協会に対する予備的研究によって得られた知見の提示とともに論じた内容です。米国の各州は、図書館専門職の専門性やメンバーの利益、図書館サービスの向上のために機能する図書館協会を置いています。著者らは政治的アドヴォカシーは図書館サービスの維持・向上に不可欠な実践であるという認識の下、このテーマに関する文献レビューを行い、資金調達・立法プロセス・ロビー活動に関する知識を有する全国の州図書館協会責任者に実施したアンケート調査の結果、調査から得られた知見等を論じています。

31州の35人の代表者が61%の回答率で、政治的アドヴォカシーへの関与状況・優先順位の設定・ロビイストの雇用等に関する著者らの調査に回答しました。著者らは調査の回答から得られた知見として、図書館のアドヴォカシー戦略は利用者の観点から考えるのが最善であること、図書館に影響を与える政治課題を繰り返し立法者に伝達する必要があること、図書館は政治的な支援に依存していること、州ごとに州図書館協会のアドヴォカシー戦略は劇的に異なっていること、などを報告しています。

Million, A. J.; Bossaller, Jenny. Lobbying and Political Advocacy: A Review of the Literature and Exploratory Survey of State Library Associations. The Political Librarian. 2020, 4(2), Article 8.
https://openscholarship.wustl.edu/pollib/vol4/iss2/8

参考:
CA1646 – 動向レビュー:米国における図書館アドヴォカシーの展開 / 福田都代
カレントアウェアネス No.294 2007年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1646

E2038 – 図書館への資金拠出に関して有権者の支持を得るには(米国)
カレントアウェアネス-E No.349 2018.06.28
https://current.ndl.go.jp/e2038