米・LYRASIS、資金助成プログラム“Catalyst Fund”の2020年の助成対象プロジェクトを発表

2020年7月6日付の、米国の図書館等のネットワークLYRASISのお知らせで、加盟館による新しい試みや革新的なプロジェクトへの資金助成プログラムとしてLYRASISが実施する“Catalyst Fund”について、2020年の助成対象プロジェクトが発表されています。

“Catalyst Fund”は、LYRASISの研究・開発・イノベーションに関する予算120万ドルの枠内で実施されるプログラムであり、2020年で4年目を迎えます。以下の5件のプロジェクトが2020年の“Catalyst Fund”による資金助成対象として選定されています。

・ユタ大学による、精度の低いOCRにより抽出された歴史的文書のテキストデータ改善を支援するガイドライン・ツール開発のためのプロジェクト“Toolkit to Assess OCR’ed Historical Text in the Era of Big Data”

・ミシシッピ大学による、機関リポジトリに登録された音声・動画ファイルに対して、ウェブアクセシビリティの基準を満たしたキャプションを、オープンソースコードを利用して効率的に作成するプロジェクト“Caption This: Creating Efficiency in Audiovisual Accessibility Using Artificial Intelligence”

・コネチカット大学による、歴史的文書における手書き文字の認識のための大規模なオープンソースソフトウェアの開発プロジェクト“Unlocking the Past: Handwritten Text Recognition for 19th Century Manuscripts”

・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校による、プレプリントサーバーのプラットフォーム及び登録されたファイルのアクセシビリティを調査するためのプロジェクト“Preprint Accessibility: Is Early Access to Research Access for All?”

・ニュージャージー州立図書館による、主に公共図書館員を対象とした魅力的なウェブサイト作成スキルを提供する無料のオンライン集中教育プログラムを開発するプロジェクト“Increasing Staff Confidence to Implement User Experience and Design Principles in Website Creation”

また、これら5件のプロジェクトとは別に、ニューヨーク州のイェシーバー大学から提出された、図書館資料を利用して人文学における教科書費用の削減を目指すプロジェクト“The Alternatives Project: Tackling Humanities Textbook Costs by Leveraging Library Resources”への助成も決定しています。このプロジェクトについては、LYRASISがイェシーバー大学との連携の下で、企画・調整・実施を進める予定です。

Press Release: LYRASIS Announces the 2020 Catalyst Fund Recipients and Their Projects(LYRASIS,2020/7/6)
https://lyrasisnow.org/press-release-lyrasis-announces-the-2020-catalyst-fund-recipients-and-their-projects/

参考:
米・LYRASISが実施する資金助成プログラム“Catalyst Fund”の2019年の助成対象として5件のプロジェクトが選定される
Posted 2019年7月26日
https://current.ndl.go.jp/node/38678

E2268 – 英国の機関リポジトリにおけるウェブアクセシビリティ対応
カレントアウェアネス-E No.392 2020.06.11
https://current.ndl.go.jp/e2268

CA1718 – 動向レビュー:電子化の現場からみたOCRの動向 / denshikA
カレントアウェアネス No.304 2010年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1718