2020年7月1日、フランス・元老院により、インフォメーションレポートの581号として公共図書館の開館時間延長に関する報告書が公開されました。同報告書は、文化・教育・通信委員会によるもので、同委員会副委員長のColette Mèlot氏と同じく副委員長のSylvie Robert氏により作成されました。
同報告書の内容は以下の通りです。
1.地方自治体の方針と国の財政について
読書や貸出の拠点に加え、文化的、社会的活動の場というように公共図書館の使命が拡大していることに触れられています。その他、フランス・文化省が2018年に出した計画“Bibliothèque”に基づいて行われた支援、開館時間延長の支援に関するこれまでの動き等がまとめられています。
2.国による財政的支援の今後に関する懸念
2016年以降、公共図書館の開館時間延長に関するプロジェクト数の増加や国から受けた支援等における量的成果と、図書館で提供されるサービスや来館者数の増加や利用者の多様化をはじめとした質的改善が見られたことが述べられています。一方で、国からの支援が最大で5年に限られていること、地域間の格差、人材面での困難等、国による財政的支援の今後に関して懸念点があるとしています。
3.報告書執筆者からの提案
他の財源へ移行する期間を設ける等の現行プロジェクトの財政的安定性の確保や、新規プロジェクトの資金調達の保証に関する取組を行うことが提案されています。また、環境整備が遅れている地方自治体に対する支援の強化、専門家育成の重視、公共図書館と大学図書館の連携強化、公読書関係部門の権限の法的保証が挙げられています。
sur l’extension des horaires d’ouverture des bibliothèques publiques(Sènat, 2020/7/1)
http://www.senat.fr/notice-rapport/2019/r19-581-notice.html
RAPPORT D’INFORMATION(Sènat, 2020/7/1)[PDF:39ページ]
http://www.senat.fr/rap/r19-581/r19-5811.pdf
Sur l’extension des horaires d’ouverture des bibliothèques publiques(Sènat, 2020/7/1)
http://www.senat.fr/rap/r19-581/r19-581_mono.html
参考:
日曜の夜の開館時間延長の効果は?米国ネイパービル公共図書館の試み
Posted 2013年6月14日
https://current.ndl.go.jp/node/23721