米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が刊行する“College & Research Libraries News”の2020年6月号に、“2020 top trends in academic libraries”が掲載されています。
同記事は、ACRLの研究計画審査委員会(Research Planning and Review Committee)により作成されたもので、大学・研究図書館における過去2年分のトレンドをまとめたものです。
取り上げられているトレンドは、以下の通りです。
・Change management: New skills for new leadership
変動性・不確実性・複雑性・曖昧性(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity:VUCA)の時代を背景とした、求められるリーダーシップの変化
・Evolving integrated library systems
統合図書館システム(ILS)の進化
・Learning analytics
学生のプライバシーや図書館の倫理等の観点から、ラーニングアナリティクスを活用することへの懸念が生じていること
・Machine learning and AI
機械学習や人工知能の技術を取り入れること
・Open access: Transitions and transformations
転換契約をはじめとしたオープンアクセス(OA)の動き
・Research Data Services (RDS): Ethics and maturation
研究データサービス(RDS)のための倫理的コアの検討や技能習熟
・Social justice, critical librarianship, and critical digital pedagogy
図書館の幅広い業務で求められている社会正義、クリティカル・ライブラリアンシップ、デジタル技術の教授法について
・Streaming media
利用者のニーズに応えるような、ストリーミングメディアの責任ある活用
・Student wellbeing
不安感情を抱く学生をはじめとした、学生の精神面での健康維持を支援する取組の広がり
また、この記事は新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大以前に作成されたこと、ACRLは大幅な予算削減をはじめとした長期的な影響をもたらすことを懸念しているが、図書館はオンラインでの情報探索や教育支援を提供する存在として位置付けられていることが述べられています。
ACRL Research Planning and Review Committee.2020 top trends in academic libraries A review of the trends and issues affecting academic libraries in higher education.College & Research Libraries News.2020,81(6),p.270-278.
https://crln.acrl.org/index.php/crlnews/article/view/24478/32304
2020 top trends in academic libraries(College & Research Libraries, 2020/6)
https://crln.acrl.org/index.php/crlnews/article/view/24478/32315
※記事のHTML版です。
参考:
2016年、大学・研究図書館のトレンド(記事紹介)
Posted 2016年6月2日
https://current.ndl.go.jp/node/31720
E1306 – 2012年,大学・研究図書館の10のトレンド
カレントアウェアネス-E No.217 2012.06.28
http://current.ndl.go.jp/e1306
ACRL、高等教育の展望と研究図書館の状況を調査したレポートを公開
Posted 2015年3月18日
http://current.ndl.go.jp/node/28170
ACRL、2013年の大学・研究図書館の現状調査レポートを刊行
Posted 2013年5月16日
http://current.ndl.go.jp/node/23510
2010年における大学・研究図書館の10の傾向(米国)
Posted 2010年6月22日
http://current.ndl.go.jp/node/16389