2020年4月21日、イタリア図書館協会(AIB)が、新型コロナウイルス感染拡大下における資料の取扱・ワークスペースの管理に関する文献レビュー及び推奨事項“Covid-19 and health protection in libraries A review of the literature and some recommendations on the handling of materials and the management of workspace [1]”を公表しています。
文献レビューでは、新型コロナウイルスの物体の表面での生存時間やエアロゾル感染の可能性についての論文、及び、同国の高等保健研究所(ISS)による物体の表面の消毒や室内の空調に関する勧告を紹介したうえで、感染が収束しロックダウンが解除されるまでの実践的なガイドラインとして、以下のような措置をとることを推奨しています。
・職員の出勤人数の制限を維持し、すべての利用するワークステーションは少なくとも1メートルの間隔を確保すること。ただし、特定の条件下で飛沫が移動する距離を考慮すると、7メートルから8メートルの距離、もしくは常にマスクを装着すること。
・館内にとどまる間はそのような距離は尊重され、その方針の順守を監視すること。
・入口に手消毒を用意すること、そして、すべての人が移動する前に使用することを勧めること。
・自分や他人の健康を守るために目、鼻、口を触らないことや、このことは本やパソコンといった図書館にあるものの表面の消毒状態を維持し、汚染されないようにするために必要であることを知らせること。
・すべての人が頻繁に手を洗う、もしくはアルコール消毒を行うこと。
・くしゃみや咳をするときには、口や鼻を肘をまげて覆うかティッシュを用いること。
・新型コロナウイスに感染した人の外出禁止は維持されており、発熱などの少々がある場合はかかりつけ医に連絡すること。
・塩素系やアルコール系の消毒で頻繁に物体の表面を掃除すること。
・室内の換気を頻繁に実施すること。
・頻繁に室内空間を消毒、殺菌すること。
・空調システムを確かめ、ある場合には、入念に管理し維持すること。
・ロックダウン中は、週1回のフィルターの清掃が保証されない場合、可能な限り、暖房や冷房の使用は避けること。
・健康状態が不明の利用者が調べたり返却した資料を扱うためには、使い捨てのラテックス(もしくはニトリル)製の手袋を用いること。また、資料は72時間(3日間)換気の良い場所で保管し利用や貸出を避けること。
・上記の措置は最近入手、寄贈を受けた資料や、ILLで返却されたものも同様であり、梱包するときも同様の注意が適用されること。
・利用者に対して、図書館の本を扱う前に手を清潔にし消毒すること、ページをめくる前に手を舐めないこと、本の上で咳やくしゃみをしないこと、を依頼すること。
・資料の返却の際に貸出後に新型コロナウイルス陽性となったかどうかを利用者に宣言するよう求めること。
・職員と利用者のための説明書を配布し、入口、事務室内、一般に利用できる空間に掲示すること。
AIBでは、ロックダウン終了後も感染が完全に収束するまで、新しい業務を確立し、ソーシャルディスタンシングやデジタルサービスを拡大することによって、在宅勤務を可能な限り促進すべきことを繰り返すことは言うまでもないとしています。
Covid-19 and health protection in libraries A review of the literature and some recommendations on the handling of materials and the management of workspace [1](AIB, 2020/4/21)
https://www.aib.it/attivita/2020/80687-covid-19-and-health-protection-in-libraries/
参考:
感染症拡大の状況下において図書館資料の衛生状態を保つ方法(記事紹介)
Posted 2020年4月1日
https://current.ndl.go.jp/node/40668
※本文の一部を修正しました(2020/5/1)