70以上の研究助成団体・出版者等が新型コロナウイルスに関する研究データ及び研究成果の広範かつ迅速な共有に関する声明に署名

2020年1月31日、英・ウェルカム・トラストのウェブサイト上で、新型コロナウイルスに関する研究データ及び研究成果の広範かつ迅速な共有に関する声明が発表されました。2月4日時点で、日本の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)等を含む70以上の研究助成団体・出版者等が署名しています。

世界保健機関(WHO)が国際的な対応を行う上で支援となる、新たな研究成果に迅速にアクセスできるようにすることを目指しており、以下の点を確実にするために協力を実施する内容となっています。

・新型コロナウイルスに関する査読済みの研究出版物全てを即時にオープンアクセスとすること、あるいは少なくとも、感染拡大期間中は無料で利用可とすること
・新型コロナウイルスに関する研究成果が学術誌に提出された際、学術誌側は著者の情報とともにWHOに対し速やかな情報共有を行うこと
・研究成果を、学術誌での出版前にプレプリントサーバーを通じて、又は査読前に論文のオープンアクセスを可能にするプラットフォームを通じて、基礎データの利用可能性に関する明確な表示とともに利用可能とすること
・研究者らが、新型コロナウイルスに関する中間及び最終の研究データを、データ収集に用いたプロトコル及び基準とともに出来る限り広範かつ迅速に共有すること。共有範囲には公衆衛生・研究コミュニティ及びWHOも含むこと
・学術誌への提出前に共有されたデータやプレプリントを、学術誌での出版に先駆けた公表とはみなさないこと

Sharing research data and findings relevant to the novel coronavirus (nCoV) outbreak(Wellcome,2020/1/31)
https://wellcome.ac.uk/press-release/sharing-research-data-and-findings-relevant-novel-coronavirus-ncov-outbreak

日本医療研究開発機構(AMED)は新型コロナウイルスの流行に対処するため、新型コロナウイルスに関連する研究成果とデータを広く迅速に共有する声明(令和2年1月31日)に署名しました(AMED, 2020/2/3)
https://www.amed.go.jp/news/topics/20200203.html

参考:
研究助成団体と出版者等がジカ熱に関する研究成果・データの公開に関する共同声明を発表
Posted 2016年2月16日
https://current.ndl.go.jp/node/30755

米国国立医学図書館(NLM)、同館のオンラインサービスにより「新型コロナウイルス」関連情報の提供を実施:塩基配列データハブ、関連文献の書誌情報一覧、一般向け情報の提供やMeSH補足用語への追加等
Posted 2020年2月4日
https://current.ndl.go.jp/node/40147

Springer Nature社、新型コロナウイルスに関する情報サイトの開設・関連性の高い研究論文の無料提供等を実施
Posted 2020年1月31日
https://current.ndl.go.jp/node/40126

エルゼビア社、新型コロナウイルスに関する無料の研究関連情報等をまとめたオンラインの情報センターを開設
Posted 2020年1月30日
https://current.ndl.go.jp/node/40113

Taylor & Francisグループ、新型コロナウイルスの世界的な拡散への対応としてコロナウイルスに関連する研究論文21本の無料提供を実施
Posted 2020年1月29日
https://current.ndl.go.jp/node/40090

Wiley社、コロナウイルスに関する研究論文を期間限定でオープンアクセスに:新型肺炎をめぐる救援活動支援のため
Posted 2020年1月27日
https://current.ndl.go.jp/node/40059