フィンランド研究コミュニティの2020年から2025年までの国家戦略・事業計画の第1部として学術出版物のオープンアクセス(OA)に関するポリシーが公開される

フィンランドの大学・研究機関・公共図書館からなるコンソーシアム“FinELib”が、2019年11月25日付のTwitterアカウントでの投稿において、フィンランド研究コミュニティの2020年から2025年までの国家戦略・事業計画の第1部として、学術出版物のオープンアクセス(OA)に関するポリシーが公開されたことを紹介しています。

公開された“Tutkimusjulkaisujen avoin saatavuus – Tutkimusyhteisön kansallinen linjaus ja toimenpideohjelma 2020–2025(1)(Open Access To Scholarly Publications – National Policy And Executive Plan By The Research Community In Finland For 2020–2025 (1))”は、オープンサイエンスの推進に関するフィンランド研究コミュニティの共同体“Avoin tiede(Open Science)”がフィンランド語・スウェーデン語・英語併記により作成したものです。フィンランド学会連盟(Federation of Finnish Learned Societies :TSV)や教育・文化省、各研究機関のポリシー実施に関する責任や役割を示しながら、学術雑誌掲載論文及び会議発表論文のOA化に関して以下の4つの戦略方針を掲げ、方針の実現と実施の監視のために必要な行動を示しています。

1. OAへの転換後も学術出版物にかかる総費用は現在の総費用を上回らないこと。総費用の見積もりには現在の費用と研究成果物の総量を反映させること
2. 研究分野・研究資金の基盤・研究キャリアにかかわらず、OAを通じて全ての研究者が平等に研究成果を発表する機会を得ること
3. 学術出版物の評価にあたって、個々の出版物の質と「オープン性(Openness)」は切り離して検討すること
4. 研究者や研究自体の評価にあたっては、オープンサイエンスの潮流を反映した変化しつつある新しい出版の形態についても考慮すること

また、戦略方針に沿って、より具体的な行動を伴う以下の4つの目標が設定されています。

1. 2022年までに新しく生産された学術論文と会議発表論文の即時OA化を実現すること
2. 学術出版の流通や個々の出版物にかかる総費用を透明化し公開すること
3. 2022年までに研究者の権利を保護しOAを保証するため、新しく生産された全ての研究成果物にクリエイティブ・コモンズ(CC)のライセンスを適用すること
4. フィンランドで生産された研究成果物の即時OAを実現可能とする研究コミュニティ共同出資による出版モデルを構築すること

@FinElibpalvelu(Twitter,2019/11/25)
https://twitter.com/FinELibpalvelu/status/1198938665105408000

Tutkimusyhteisön kansallinen linjaus tutkimusartikkeleiden avoimesta saatavuudesta hyväksyttiin(Avoin tiede,2019/11/25)
https://avointiede.fi/fi/uutiset/julkaisemisen-linjaus-julkaistu

Tutkimusjulkaisujen avoin saatavuus – Tutkimusyhteisön kansallinen linjaus ja toimenpideohjelma 2020–2025: Lehti- ja konferenssiartikkeleiden avoimen saatavuuden osalinjaus(Avoin tiede)
https://doi.org/10.23847/isbn.9789525995206

Tutkimusjulkaisujen avoin saatavuus – Tutkimusyhteisön kansallinen linjaus ja toimenpideohjelma 2020–2025(1) [PDF:60ページ](Avoin tiede)
https://avointiede.fi/sites/avointiede.fi/files/tutkimusjulkaisujen_avoin_saatavuus2019.pdf

参考:
フィンランドのコンソーシアム“FinELib”の主要学術出版社とのOA出版契約交渉の状況(記事紹介)
Posted 2019年8月30日
https://current.ndl.go.jp/node/38915

応用科学大学コンソーシアム運営によるリポジトリサービス“Theseus”等のネットワークが展開するオープンな研究成果物公開プラットフォーム(フィンランド)(記事紹介)
Posted 2019年10月31日
https://current.ndl.go.jp/node/39404

フィンランドの大学・研究機関における学術雑誌購読費用の詳細が公開される 出版者ごとの詳細までの公開は世界初?
Posted 2016年6月14日
https://current.ndl.go.jp/node/31801

E1880 – オープンサイエンスの潮流と図書館の役割<報告>
カレントアウェアネス-E No.318 2017.01.26
https://current.ndl.go.jp/e1880