欧州大学協会(EUA)、欧州の大学における研究評価に関連したオープンサイエンスとオープンアクセスの調査報告書を公開

2019年10月22日、欧州大学協会(EUA)が、欧州の大学における研究評価に関連したオープンサイエンスとオープンアクセスの調査報告書として、“Research Assessment in the Transition to Open Science”を公開したことを発表しました。

この報告書は2019年に欧州32か国の260機関を対象に実施された、研究評価に関わるオープンサイエンスとオープンアクセスの調査に基づいて作成されたものです。調査の目的として、研究評価に対する現在および将来の大学のアプローチに関する情報を集約・共有し、この分野に関わる議論の情報提供・補強等を行うことが挙げられています。報告書を通して、欧州の大学における研究評価の最新の状況が包括的に概観され、大学が研究評価の実践の見直しを進める理由・方法等が示されています。

報告書では、研究評価に対する大学のアプローチについて、調査により得られた知見として以下の5点を挙げています。

・大学における研究キャリア構築の上で、研究成果の公表と外部からの研究資金獲得が重要な活動であると考えられていること
・大学は研究のキャリア評価の手法について、Journal Impact FactorやH-index等の量的な出版指標のような限られた手法に依存する傾向にあること
・研究のキャリア評価について、現在普及している指標以外の指標はあまり普及しておらず開発も遅れていること
・研究評価に対するアプローチの開発と実践について、他機関と共同することはせずに、それぞれの大学が独立して行う傾向にあること
・一方で研究評価に対するアプローチの形成に当たって、規制や資金提供の枠組みを設定する政府・研究資金助成機関、競争的な研究開発環境等の外部要因も意識されていること

Research Assessment in the Transition to Open Science(EUA,2019/10/22)
https://eua.eu/resources/publications/888:research-assessment-in-the-transition-to-open-science.html

Research Assessment in the Transition to Open Science [PDF:48ページ](EUA)
https://eua.eu/component/attachments/attachments.html?id=2444

参考:
欧州大学協会(EUA)、欧州の大学におけるビッグディール契約に関する調査報告書の第2版として“2019 Big Deals Survey Report”を公開
Posted 2019年5月17日
https://current.ndl.go.jp/node/38179

欧州大学協会(EUA)、欧州の大学におけるオープンアクセスの進捗状況に関する調査報告書の第4版“2017-2018 EUA Open Access Survey Results”を公開
Posted 2019年5月9日
https://current.ndl.go.jp/node/38126