2019年10月1日、英国の大手独立系シンクタンクDemosは、人工知能（AI）・ロボット工学等の新技術が研究部門の将来へ与える潜在的な影響に関する調査の中間報告書として、“Research 4.0: Research in the age of automation”を公表したことを発表しました。
この調査は英・Jiscの支援の下で実施されているものです。自然言語プログラミングから画像認識まで、現代の研究に適用されるAI関連技術に特に焦点を当てながら、研究部門における第4次産業革命技術の展開と影響、そして「自動化された研究（automated research）」の現状が調査されています。
公表された中間報告書では、最初にこうした技術の研究部門への展開の状況として、最近10年間のコンピュータの計算能力の指数関数的増大によりAIシステムの可能性を劇的に増大させた機械学習・人工ニューラルネットワークの使用が可能になったこと、自然言語処理・画像認識等のAIが実現した様々なツールと技術が多くの分野や産業の研究で取り入れられていること、などを指摘しています。研究の将来へ与える影響については、技術革新を背景とした「自動化された研究」が研究者をより創造的で生産的にするのか、それとも研究者を完全に置き換える存在となるのかという問題は未解決であるとし、また、現在のAIの進歩はハードウェアの制約のため維持されるのか不明であり、これらの技術の研究への導入はコストが極めて高い可能性がある、としています。
この中間報告書は2段階プロジェクトの第1段階として作成されたものです。第2段階では、中間報告書で提起された、AI等の第4次産業革命技術の研究への収束の影響を最も良く予測する方法や研究者・研究成果物・社会全体にとって最も有益な結果を保証するために必要な政策介入等の問題について詳細な検討が行われ、2020年初頭に最終報告書として公表される予定です。
Research 4.0: Research in the age of automation（Demos，2019/10/1）
https://demos.co.uk/project/research-4-0-research-in-the-age-of-automation/
New report explores impact of automation on UK research（Jisc，2019/10/1）
https://www.jisc.ac.uk/news/new-report-explores-impact-of-automation-on-uk-research-1-oct-2019
Research 4.0: Research in the age of automation [PDF：29ページ]（Demos）
https://demos.co.uk/wp-content/uploads/2019/10/Jisc-OCT-2019-2.pdf
参考：
テクノロジーの戦略的活用で高等教育の未来は変わるか（英国）
Posted 2009年6月29日
https://current.ndl.go.jp/node/13450
韓国国会図書館（NAL）、同館主導で創設した韓国学術情報協議会に「第4次産業革命対応」「国家学術情報ニューラルネットワーク形成」「著作権法改正」に関する分科委員会を設置
Posted 2019年3月14日
https://current.ndl.go.jp/node/37790
