2019年9月26日、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeは、ブリーフィングペーパー“Science Europe Briefing Paper: On Open Access to Academic Books”を公開したことを発表しました。
オープンアクセス(OA)への移行に関する動きはこれまで論文を中心に展開されていますが、社会科学・人文科学等の分野では研究成果として多数の単行書が生産され活用されています。このブリーフィングペーパーは、こうした状況を背景に、学術書に対してOA方針を実施する際の重要問題の特定や様々な利害関係者がこれらの方針を促進・加速するための提言を概説したものである、としています。
公開されたブリーフィングペーパーは、学術単行書をめぐる現在の状況、学術単行書のOAは論文とは異なる道筋をたどっていることを挙げながら、学術書のOA実施に求められる原則として、「学術書についても明示されたOA方針」「持続可能な資金提供・ビジネスモデル」「OA学術書に対する品質保証プロセスの確立」「生産者の著作権の保証と再利用のための適切なライセンス設定」「標準的なメタデータの運用等によるOA学術書の普及・発見・保存体制」の5つが示されています。
また、OA移行の達成には様々な利害関係者の共同努力が重要であることを指摘し、利害関係者である研究助成機関・研究実施機関・図書館・研究者・学会・出版社への提言が示されています。
Briefing Paper on Open Access to Academic Books(Science Europe,2019/9/26)
http://www.scienceeurope.org/our-resources/briefing-paper-on-open-access-to-academic-books/
Science Europe Briefing Paper: On Open Access to Academic Books [PDF:16ページ](Science Europe)
http://www.scienceeurope.org/media/qk2b1cq4/se_bp_oa_books_092019.pdf
参考:
CA1907 – 動向レビュー:欧州における単行書のオープンアクセス / 天野絵里子
カレントアウェアネス No.333 2017年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1907
Science Europe、「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」を発表
Posted 2019年2月14日
https://current.ndl.go.jp/node/37584
Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
https://current.ndl.go.jp/node/36610