2018年11月5日、英国のウェルカム・トラストは、同財団が助成する研究成果の新たなオープンアクセス(OA)ポリシーを同財団のブログで発表しました。新たなポリシーは2020年1月1日以降に査読誌に投稿された論文に適用されます。
同財団のブログでは、新たなポリシーの主要な変更点5点が挙げられています。
1. 助成を受けた研究論文は、PubMed Central(PMC)またはEurope PMCで出版と同時に査読済みのバージョンを公開しなければならないこと(現行のポリシーでは6か月のエンバーゴを認めている)。
2. 全ての論文をクリエイティブコモンズのCC-BYライセンスで公開しなければならないこと(現行のポリシーでは、APC(論文処理加工料)を支払った論文のみを対象としている)。
3. ハイブリッドOA誌の投稿料の助成を取りやめること。
4. 助成を受けている研究者のプレプリントをCC-BYライセンスで出版することを強く推奨すること。
5. 助成を受けている団体は、研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)等に署名または参加しなければならないこと。
新たなOAポリシーは、欧州委員会(EC)とScience Europeが策定したOAポリシー“Plan S”にも完全に一致しており、今後、同財団は研究成果物の完全かつ即時のOAを実現するためのイニシアチブ“cOAlition S”にも参加予定であるとしています。
Wellcome is updating its open access policy(Welcome,2018/11/5)
https://wellcome.ac.uk/news/wellcome-updating-its-open-access-policy
Open access policy 2020(Welcome)[PDF:2ページ]
https://wellcome.ac.uk/sites/default/files/wellcome-open-access-policy-2020.pdf
参考:
英国のウェルカム・トラスト、オープンアクセス(OA)ポリシーの全体的な見直しを発表
Posted 2018年3月6日
http://current.ndl.go.jp/node/35592
英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、ウェルカム・トラストによるオープンアクセス(OA)ポリシーの全体的な見直しに対する回答を発表
Posted 2018年5月30日
http://current.ndl.go.jp/node/36071
APCが支払われた論文リストの公開から見えてきたこと 有志による活躍(記事紹介)
Posted 2014年4月1日
http://current.ndl.go.jp/node/25830
Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
http://current.ndl.go.jp/node/36610
オープンアクセス学術出版協会(OASPA)、オープンアクセスに関する”Plan S”への支持を表明
Posted 2018年10月9日
http://current.ndl.go.jp/node/36786