APCが支払われた論文リストの公開から見えてきたこと 有志による活躍(記事紹介)

2014年3月28日、英ウェルカム財団のブログに” The cost of open access publishing: a progress report”と題した記事が掲載されました。この記事は2014年3月17日に同財団が公開していた、2012-2013年に同財団の助成の中からAPC(論文加工料)が支払われた論文のリストについて、その後の反応やそこから見えてきたことを紹介するものです。

記事によれば、ウェルカム財団によってデータが公開された直後から、有志によって元のリストにはなかった論文掲載誌のインパクトや各論文のライセンス、ハイブリッドオープンアクセス(OA)誌か完全なOA誌か、本当にOAになっているか等の情報が付け加えられていきました。その結果、助成を受けながらOAになっていない論文があったこと(たとえばElsevierは助成を受けていた422論文のうち6本がOAになっていなかった)、ハイブリッドOA誌のAPCは完全OA誌の2倍近くにもなっていること等がわかったそうです。

この結果を受けて同記事では出版社に対し、例えわずかであってもウェルカム財団からOAに対する支払いを受けながら料金をとっている論文がある、などということはあってはならないと述べています。また、APCのバランスを取るために、関係機関とも協力していくとしています。加えて、データの追加や問題点を指摘した有志に対する感謝が述べられています。

The cost of open access publishing: a progress report(Wellcome trust、2014/3/28)
http://blog.wellcome.ac.uk/2014/03/28/the-cost-of-open-access-publishing-a-progress-report/

Wellcome Trust APC spend 2012-13: data file(figshare、2014/3/17付け)
http://figshare.com/articles/Wellcome_Trust_APC_spend_2012_13_data_file/963054

Wellcome Trust APCs 2012-13(Google Drive、上記データに有志による情報の追加が行われたもの)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1RXMhqzOZDqygWzyE4HXi9DnJnxjdp0NOhlHcB5SrSZo/edit#gid=0

参考:
英ウェルカム財団、2012-2013年に同財団の助成によりAPCが支払われた論文のリストを公開
Posted 2014年3月18日
http://current.ndl.go.jp/node/25722