欧米4か国で実施されたフェイクニュースに対する意識調査についての報告書が公開される

2017年10月24日、英国のロイタージャーナリズム研究所(Reuters Institute for the Study of Journalism:RISJ)は、米国、英国、スペイン、フィンランドで調査した国民のフェイクニュースに対する意識調査についての報告書““News you don’t believe”: Audience perspectives on fake news”を公開しました。RISJは、英・オックスフォード大学の政治・国際関係学部(Department of Politics and International Relations)に拠点を置く、世界のメディアの動向等を調査する研究団体です。

同報告書は、2017年の上半期に米国、英国、スペイン、フィンランドの4か国で行った、フォーカスグループインタビューによる調査とオンラインニュースの利用者への調査をまとめたものです。調査結果からフェイクニュースは狭義にはねつ造されたニュースであるが、ニュースメディア・政治家・プラットフォームといった広範な情報環境への不満があることが示唆されたとしています。また、ねつ造されたニュースに取り組むことは重要であるが、それだけでは人々の情報環境への不満といった問題は解消されないと、述べています。

調査結果では、以下のようなフェイクニュースについての人々の意識を取り上げています。
  • ニュースとフェイクニュースに明確な区別はなく、違いは相対的なものとして認識されていること。
  • フェイクニュースの特徴として、ニュース報道に見せかけた誤った情報というよりも、内容が不十分な報道や、プロパガンダ的であるものや、一種の広告といったものとして、しばしば認識していること。
  • 「フェイクニュース」という言葉は、政治家が政治的なバズワードとして使ったり、メディアやニュースのプラットフォームを批判したりするのに使われているのを見て、人々はフェイクニュースの問題を知っていること。

RISJ Review
https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/risj-review
※“24 OCT 2017 “Do you believe everything that you hear, see and read?””とあります。

“Do you believe everything that you hear, see and read?”(RISJ,2017/10/24)
https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/risj-review/do-you-believe-everything-you-hear-see-and-read

“News you don’t believe”: Audience perspectives on fake news(RISJ)
https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/our-research/news-you-dont-believe-audience-perspectives-fake-news

“News you don’t believe”: Audience perspectives on fake news(RISJ)(PDF 767KB)
https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/sites/default/files/2017-10/Nielsen%26Graves_factsheet_1710v3_FINAL_download.pdf

参考:
国際図書館連盟、インフォグラフィック「偽ニュースの見極め方」の世界の図書館での活用例を紹介するレポートを公開
Posted 2017年8月21日
http://current.ndl.go.jp/node/34538

Wikipedia創設者のジミー・ウェールズ氏がフェイクニュースと戦う新たなニュースサイト”Wikitribune”を立ち上げ クラウドファンディングで資金を集め、プロのジャーナリストと人々が協働して編集
Posted 2017年4月25日
http://current.ndl.go.jp/node/33899