2017年8月にポーランドのヴロツワフで開催される第83回世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA)年次大会での発表資料として、リトアニア国立図書館のLithuanian Studies Research DepartmentのCIDZIKAITĖ, Dalia氏による“Oral History Method: An Affective Tool in Researching Local History”と題する記事が公開されています。
海外への移住者が多い同国の問題に対応するために同館が実施している、高校生を対象としたパイロット事業“Conversations about (E)migration”を紹介するものです。
同事業は、参加者が、同国の歴史に関する講義の受講や同館で文献遺産を見学するほか、オーラルヒストリワークショップに参加してその手法を学び、海外移住者や近年同国に戻った人にインタビューを実施し、その録音記録とトランスクリプトを地域の図書館に保存する取組です。
2015年は高校1校と公共図書館1館が参加し、2016・2017年度は海外移住者の多い地域の5つの高校が参加しており、2017年5月17日には、パイロット事業の最後として、国内100校の生徒が参加して海外移住の是非をテーマとしたディベートが同館で行われたとのことです。
高校生の、海外に移住するか国内に留まるかの選択に資することを目的とした事業ですが、参加した高校の教員が同窓生から情報を収集したり、図書館員が自身の業務で活用したりするなど、国内でオーラルヒストリーを活用する事例が見られると紹介されています。
Oral History Method: An Affective Tool in Researching Local History (IFLA Library)
http://library.ifla.org/1700/
http://library.ifla.org/1700/1/S03-2017-cidzikaite-en.pdf
参考:
南アジアからのバーミンガムへの移民の歴史を残すオーラルヒストリー・アーカイブ構築
Posted 2013年12月11日
http://current.ndl.go.jp/node/25042
「ヒロシマ・アーカイブ」、一部コンテンツの英訳やインタービュー動画等を追加してバージョンアップ
Posted 2015年7月7日
http://current.ndl.go.jp/node/28850
CA1890 – 動向レビュー:英米のオーラルヒストリー・アーカイブから何を学ぶか / 梅崎 修
カレントアウェアネス No.330 2016年12月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1890