チェコ共和国にはなぜ図書館がたくさんあるのか?(記事紹介)

2016年7月21日付けのNewYork Times紙が、チェコ共和国に図書館が多い理由について解説した記事を掲載しています。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団が調査を実施し2013年に公開した“Cross-European survey to measure users’ perceptions of the benefits of ICT in public libraries”によると、同国の図書館1館あたりのサービス対象者数は1,971人で、欧州の平均的な国より人口比4倍の、また、米国と比べて10倍の数の図書館があります。

記事では、その理由として、ドイツ語を共通語とするオーストリア・ハンガリー帝国からチェコスロバキア共和国として独立して間もない1919年に制定された法律により、リテラシー教育支援を目的に、全てのコミュティに対して、その規模を問わず図書館を設置することを義務付けたことや、その法律が、ドイツ占領下や共産主義時代、スロバキアとの分離を経ても、生き残ったことをあげています。

また、同国の図書館の現状について、予算不足により、2011年には6,019館がなくなり、それ以来11%の図書館が統合もしくは閉鎖されていること、そのようななかでも、図書館が、投票所、会議室、読書クラブ、美術展、コンピュータリテラシー講座のための場として運営され、また、児童や退職者が集まる場所となっていることが紹介されています。

記事では、同国は、今日においても読書の習慣が強固であり、図書館を訪れる人はよく本も購入している(年平均11冊)との、チェコ国立図書館図書館研究所長の発言が紹介されています。

Why Libraries Are Everywhere in the Czech Republic(NewYork Times,2016/7/21)
http://www.nytimes.com/2016/07/22/world/what-in-the-world/why-libraries-are-everywhere-in-the-czech-republic.html

Cross-European survey to measure users’ perceptions of the benefits of ICT in public libraries
https://digital.lib.washington.edu/researchworks/bitstream/handle/1773/22718/Final%20Report%20-%20Cross-European%20Library%20Impact.pdf?sequence=1

※誤字を修正しました(2016/7/26)