フィンランドの大学・研究機関が、2010-2015年に学術雑誌購読のために支出した費用の詳細を、同国の教育文化省のオープンサイエンス推進担当部門、Open Science and Research Initiativeが公開しています。各機関が対象期間中の毎年、どの出版者に対し何ユーロ支出したかをCSV形式で公開しており、一国単位で、出版者ごとの詳細な金額まで公開するのは世界初とのことです。
今回公開されたデータは元々、2014年にOpen Knowledge Foundationのフィンランドにおける地域グループ、Open Knowledge Finlandが大学等に対して直接、公開を要求していたものでした。出版者から契約違反を訴えられることを恐れた大学等は公開を拒否しましたが、公開要求者らが行政裁判所に訴え、行政裁判所が購読契約費用は公開すべきデータであると認めたことにより、今回の公開に至ったとのことです。
今回公開されたデータによれば、フィンランド全体では2010-2015年の期間中、平均して毎年2,200万ユーロを学術雑誌購読に費やしており、2011年以降毎年、支出金額は増額していました。
Open Science and Research InitiativeはデータそのものをExcelもしくはCSV形式でダウンロードできるようにしているほか、機関の種類や契約年等でデータにフィルターをかけた上で、ダウンロードできるサイトも公開しています。
Transparency and openness to scientific publishing: the Finnish research organisations pay millions of euros annually to the large publishers(Open Science and Research、2016/6/13付け)
http://openscience.fi/-/transparency-and-openness-to-scientific-publishing-the-finnish-research-organisations-pay-millions-of-euros-annually-to-the-large-publishers
Academic publisher costs(Open Science and Research)
https://avointiede.fi/web/openscience/publisher_costs
Scientific journal subscription costs in Finland 2010-2015: a preliminary analysis(rOpenGov、2016/6/10付け)
http://ropengov.github.io/r/2016/06/10/FOI/
Finland takes leading role in the openness of academic journal pricing(Mostly Physics、2016/6/13付け)
http://www.mostlyphysics.net/blog/2016/6/13/finland-takes-leading-role-in-the-openness-of-academic-journal-pricing
参考:
EBSCO社、2016年の学術雑誌価格上昇の予測値を4~6%と発表
Posted 2015年10月5日
http://current.ndl.go.jp/node/29570