Nature誌オンライン版に、2016年2月10日付けで”Does it take too long to publish research?”と題した、査読を経て研究成果を発表するまでにかかる時間の長さに苦しむ研究者の姿や出版までにかかる時間の実態を紹介した記事が掲載されています。また、同記事に対する読者の反響のまとめが2016年2月15日付けで掲載されています。
2月10日掲載の記事では、複数の雑誌から、査読に回すことすらなく論文を却下されたり、査読者から大幅な変更を求められて対応するも却下されるなどし、最終的に論文が出版されるまで23カ月かかった実例等が紹介されています。一方、Nature誌の依頼によって行われた論文の受理から出版までにかかる期間の調査結果も紹介されていますが、この結果によれば各雑誌内での出版までにかかる期間はほとんど変化していないとのことです。ただし、一度却下された論文が再投稿された場合には受理日が更新される例があること等から、この調査結果は出版までにかかる期間を短く見積もっている可能性もあるとしています。実際、Nature誌やPLOS ONEの投稿受付から出版までにかかる期間は過去10年間で大きく伸びているとのことです。
2月10日付けの記事では読者に対し、実際に出版までに長く待たされた経験があるか、出版にかかる期間を短縮するにはどうすればよいか等のアンケートフォームが設置されており、2月15日付けの記事はこのフォームへの回答をまとめたものです。集計結果から、3,600名を超える回答者のうち、最初の投稿から最終的な出版まで3年以上かかった回答者が約10%にのぼったとされています。また、出版にかかる期間を短縮するための方法として最も多くの回答者に選ばれていたのは、「査読者がそれほど必要ではない修正を要求するのをやめること」(42%の回答者が選択)でした。
Does it take too long to publish research?(Nature、2016/2/10付け)
http://www.nature.com/news/does-it-take-too-long-to-publish-research-1.19320
Snail’s pace: Nature readers on their longest wait to get published(Nature、2016/2/15付け)
http://www.nature.com/news/snail-s-pace-nature-readers-on-their-longest-wait-to-get-published-1.19375
The history of publishing delays(Satoshi Village、2016/2/10付け)
http://blog.dhimmel.com/history-of-delays/