2015年8月に開催された第81回世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA)年次大会の資料として、IFLAのウェブサイトに、フィンランドのセリア図書館のKirsi Ylänne氏による、“Finnish Accessibility Guidelines for Public Libraries”と題した記事が公開されています。
2013年10月に始まったセリア図書館の“Library for All”プロジェクトに端を発し、フィンランドの公共図書館において、アクセシビリティの向上に関する認識の向上を図ることを目的とし、アクセシビリティのチェックリストを作成することになったという経緯や、単なるコンテンツそのもののアクセシビリティという物理的な側面のみならず、ソーシャル・アクセシビリティ(たとえば、読書障害の人にオーディオブック提供する際の掲示や場所、LGBTIへの配慮など)についても検討しており、加えて、フィンランドで高齢化が進行していることや、デジタル化が進展していることも、アクセシビリティの認識の要因である、などといったことが挙げられています。
その他、2016年春に完成予定であるというこのガイドラインに盛り込まれる予定の内容についても言及されていて、
・図書館におけるスペース、コミュニケーション、オンライン・サービスを含む内容となること
・アクセシブルなコミュニケーションに関し、2015年秋からヘルシンキ市の図書館でプロジェクトが実施され、その結果もガイドラインに反映されるる予定であること
・2015年春に完成したドラフトを障害・マイノリティの組織等にも送り、肯定的な返答を得られていること
などが述べられています。
Finnish Accessibility Guidelines for Public Libraries(IFLA)
http://library.ifla.org/1284/
http://library.ifla.org/1284/1/123-ylanne-en.pdf
参考:
CA1611 – 障害者サービスの潮流−DAISY & 統合デジタル図書館ワークショップ報告− / 原田圭子
カレントアウェアネス No.290 2006年12月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1611