D-Lib Magazineの2014年11/12月号に、新たな文献評価手法” Semantometrics”を提案する論文”Towards Semantometrics: A New Semantic Similarity Based Measure for Assessing a Research Publication’s Contribution”が掲載されています。著者は英国Open UniversityのPetr Knoth氏とDrahomira Herrmannova氏です。
既存の文献評価指標は、被引用数に基づくものであれAltmetricsであれ、文献の本文の情報ではなく、文献間の言及数のみに基づいています。Knoth氏らの論文では文献の価値を測るためには本文の情報が必要なはずであるとした上で、ある文献pが引用している文献群と、その文献pを引用している文献群の本文の意味的距離(semantic distance)を指標として用いることを提案しています。これは引用文献と被引用文献の意味的距離が遠い、つまり両者の類似度が低い文献は、既知の事柄(引用文献群)と、新たに構築された知識(被引用文献群)の間をつなぎ被引用文献群の知見を導くことに貢献した、科学に対する貢献度の高い文献である、という仮説に基づいています。
Knoth氏らの論文では少数のサンプルを対象にSemantometricsの手法を適用してみた結果も報告されており、従来の指標では評価できなかったような文献の、科学への貢献を測ることができたとしています。
Petr Knoth and Drahomira Herrmannova (2014), Towards Semantometrics: A New Semantic Similarity Based Measure for Assessing a Research Publication’s Contribution. D-Lib Magazine. Vol.20, no.11/12.
http://www.dlib.org/dlib/november14/knoth/11knoth.html