大学出版局は図書館による本の購入によってどの程度支えられているか。学術出版系ブログ“The Scholarly Kitchen”の2014年6月23日付けの記事の中で、この疑問について、同ブログの記事執筆者の一人でユタ大学の図書館員であるRick Anderson氏と、シカゴ大学出版局(UCP)のElectronic Marketing ManagerであるDean Blobaum氏が行った調査の結果が公表されています。
Anderson氏とBlobaum氏は出版局が持つ図書の販売部数データと、WorldCatに含まれる同じ図書の所蔵数を照らし合わせることで、出版部数に占める図書館購入分の割合を特定することを思いつき、UCPが出版する図書を対象に調査を実施しました。対象は2012年にUCPが出版した図書326タイトルで、その中には学術的なモノグラフ(単行書)のほかに年報なども含まれていました。
調査の結果、全体で見ると図書館による購入分は全販売部数の20~25%程度で、中でもモノグラフの販売に図書館が占める割合が最も高く、46.7%になっていました。分野別では音楽研究(58.8%)や図書館研究(52.7%)、歴史学(51.4%)において図書館における購入が占める割合が高かったとのことです。
この結果について、Blobaum氏、Anderson氏ともに思ったよりも図書館の占める割合は少なかったとしています。
How Important Are Library Sales to the University Press? One Case Study(the Scholarly Kitchen、2014/6/23付け)
http://scholarlykitchen.sspnet.org/2014/06/23/how-important-are-library-sales-to-the-university-press-one-case-study/
参考:
図書館向け電子書籍の利用分析 大学出版局によるタイトルはよく利用される傾向
Posted 2014年1月28日
http://current.ndl.go.jp/node/25352
米国大学出版協会が大学出版局と図書館の協力に関する調査結果を発表
Posted 2014年1月15日
http://current.ndl.go.jp/node/25252