高インパクト商業誌への苦言と代替案 ノーベル医学生理学賞受賞者Randy Schekman氏へのインタビュー(記事紹介)

2013年12月24日、Library Journal誌オンライン版に2013年のノーベル医学生理学賞受賞者、Randy Schekman氏へのインタビュー記事が掲載されました。Schekman氏は米国カリフォルニア大学バークレー校教授で、2012年に創刊された生命科学・生物医学分野のオープンアクセス誌“eLife”の初代編集主幹でもあります。同氏は2013年12月9日付けの英国The Guardian紙上でNature、Cell、Scienceといった高インパクトな商業雑誌に対する批判を展開し、自身の研究室は今後それらの雑誌に投稿しないことを表明したことで注目を集めていました。

Library Journal誌のインタビューではあらためてThe Guardian紙掲載記事や投稿ボイコットの意図について尋ねるとともに、若手研究者にとってそれら高インパクト商業誌の代替として何が考えられるのか等を尋ねています。Schekman氏は高インパクト商業誌への掲載論文数を研究者が競い合っている現状への疑問を述べた上で、代替手段としてはeLifeのようなオープンアクセス誌への投稿を提案するとともに、大学等が高インパクト商業誌への掲載数ではなく、論文そのものの内容を評価するようにならねばならないと答えています。

A Broken System: Nobel Winner Randy Schekman Talks Impact Factor and How To Fix Publishing(Library Journal、2013/12/24付け)
http://lj.libraryjournal.com/2013/12/publishing/a-broken-system-nobel-winner-randy-schekman-talks-impact-factor-and-how-to-fix-publishing/#_

How journals like Nature, Cell and Science are damaging science(The Guardian、2013/12/9付け)
http://www.theguardian.com/commentisfree/2013/dec/09/how-journals-nature-science-cell-damage-science

Nobel winner declares boycott of top science journals(The Guardian、2013/12/9付け)
http://www.theguardian.com/science/2013/dec/09/nobel-winner-boycott-science-journals

ノーベル医学生理学賞受賞者Randy Schekman氏、Nature誌・Cell誌・Science誌と決別(STI Updates、2013/12/11付け)
http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2013/12/009387.html

参考:
研究助成機関による生命科学分野のオープンアクセス誌“eLife”が正式創刊に先立って論文の公開を開始
Posted 2012年10月16日
http://current.ndl.go.jp/node/22091