2012年7月3日、欧州委員会(European Commission:EC)は、フランスとルクセンブルクが電子書籍のダウンロード販売に対する付加価値税(VAT)の税率を引き下げたことがEU法に反していると発表しました。新聞各紙で取り上げられています。
発表文によると、EUでは特定の商品やサービスについては各国でVATの税率を決定することが認められており、紙の書籍はその対象となっていますが、電子書籍のダウンロード販売はそこには含まれないとECは判断しています。対して、フランスとルクセンブルクは、2012年1月1日から電子書籍の税率をそれぞれ7%と3%に引き下げており、この状況は各国の競争に深刻な影響を与えると述べられています。
今後、ECは、フランスとルクセンブルクに対して正式に通知を行い、1か月以内にそれぞれの立場を回答するよう求めていき、その回答が不十分な場合には二国に対して法改正を要求するとしています。
Commission questions France and Luxembourg about reduced VAT rate on digital books(European Commission 2012/7/3付けプレスリリース)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/12/740
欧州委員会が「電子書籍は書籍ではない」と結論、付加価値税を勝手に下げたフランス・ルクセンブルク等に制裁(hon.jp DayWatch 2012/7/6付け記事)
http://hon.jp/news/1.0/0/3499/
電子書店はルクセンブルクで開店するのが賢い? 欧州各国間で電子書籍の付加価値税率に大きな差が(hon.jp DayWatch 2011/12/15付け記事)
http://hon.jp/news/1.0/0/2966/
Europe sues to continue taxing digital content higher than physical(paidContent 2012/7/5付け記事)
http://paidcontent.org/2012/07/05/europe-sues-to-continue-taxing-digital-content-higher-than-physical/
EC warns France and Luxembourg on e-book VAT(The Bookseller 2012/7/5付け記事)
http://www.thebookseller.com/news/ec-warns-france-and-luxembourg-e-book-vat.html
参考:
海外からの電子書籍等配信に対する消費税課税の検討へ、財務省が研究会を設置
http://current.ndl.go.jp/node/21252
欧州での電子書籍への付加価値税の税率について(記事紹介)
http://current.ndl.go.jp/node/19685