スペイン文化遺産研究所による紙の透かしデジタル化プロジェクト(記事紹介)

2023年4月4日付で、スペイン文化・スポーツ省の機関であるスペイン文化遺産研究所(Instituto del Patrimonio Cultural de España : IPCE)が、紙の透かしデジタル化プロジェクトに関する記事を掲載しました。

2018年にIPCEが開発したアプリケーション“Filigranas Hispánicas”(「スペイン語圏の透かし」)とそれにまつわるプロジェクトに関するものです。“Filigranas Hispánicas”は、現在4万7,000件の透かしの画像を有するプラットホームとなっており、IPCEと、ボランティアとしてこの研究に任意で参加する研究者によって更新され、透かしの件数も増加しているとあります。

今回IPCEは、スペインにおけるCOVID-19による影響からの復興計画“Plan de Recuperación, Transformación y Resiliencia”の枠組みの中で、新たに約3,000件の新しい透かしをデジタル化するプロジェクトを開始したとあります。これにより、より多くの情報を研究者に提供し、紙の歴史やその保存、修復に関する研究の可視性を高めるとしています。

プロジェクトの目的の一つとして、このテーマに関するすべての情報や研究にインターネットを通じてアクセスできるようにし、関心を持つ研究者や歴史家が参加できる「オープンプロジェクト」とすることを挙げています。また、16 世紀から 18 世紀末までに使用された紙が大西洋の両岸でほぼ同じであることから、スペイン以外のスペイン語圏の透かしコレクションの識別と年代測定のための参考となることをもう一つの目的として掲げています。

IPCEによると、透かしは、紙の製造年代を特定できる最も信頼性の高い要素であり、13世紀末から現代までの透かしを編纂することで、その起源や年代、特定の形式や品質についての信頼できるデータを手に入れることができるとしています。

El IPCE amplía el proyecto “Filigranas Hispánicas” con nuevas digitalizaciones(IPCE, 2023/4/4)
https://ipce.culturaydeporte.gob.es/noticias/2023/2023-04-04-proyecto-filigranas.html

Filigranas Hispánicas(Ministerio de Cultura y Deporte)
https://www.cultura.gob.es/filigranas/

参考:
米・ミシガン大学図書館、同館が所蔵するガリレオによる手稿が偽物であったと発表
[2022年08月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/46735