2011年1月24日、米国国立公文書館(NARA)は、長年にわたってエイブラハム・リンカーンを研究してきたThomas Lowry氏が、同館所蔵のリンカーン関係史料の一部を改ざんしたことを認めたと発表しました。問題の史料は、南北戦争時に北軍に所属していたPartick Murphyが、脱走兵として軍法会議にかけれた際、リンカーンが執筆したMurphyの恩赦状のようです。Lowry氏は、恩赦状に記載されていた1864年4月14日の日付を、その1年後の、1865年4月14日に変えたことを認めたようです。この1865年4月14日とは、リンカーンがワシントンD.C.のフォード劇場で暗殺された日にあたります。Lowry氏は、日付を操作したことで、この恩赦状がリンカーン暗殺直前の文書の一つとして、重要な歴史的史料であると主張しえたとのことです。そして、1998年にはこの史料の「発見」はメディアで報じられ、史料を基にLowry氏は1999年に研究書を執筆したようです。改ざんの事実を発見したことについて、NARAの関係者は、「記録文書修復総合調査チームは、国家の歴史的記録を守るという我々共通の責任を果たしたことで、その重要性を再び示してくれた」とコメントしています。なお、今回の改ざんについてはすでに時効を迎えており、立件はできないようですが、NARAはLowry氏に対して、同館の永久利用停止処分を下したとのことです。
National Archives Discovers Date Change on Lincoln Record (2011/1/24付け NARAのプレスリリース)
http://www.archives.gov/press/press-releases/2011/nr11-57.html
Researcher Can’t Be Prosecuted for Altering Abe Lincoln Pardon, National Archives Says (2011/1/25付け ABA Journalの記事)
http://www.abajournal.com/news/article/researcher_cant_be_prosecuted_for_admittedly_altering_abe_lincoln_pardon_na/
Last pardon of Abraham Lincoln was ‘forgery’ (2011/1/25付け Telegraphの記事)
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/northamerica/usa/8281290/Last-pardon-of-Abraham-Lincoln-was-forgery.html