英国情報システム合同委員会(JISC)が、2007年から2年間にわたり、学生・教員の電子書籍の利用動向を調査してきた“national e-books observatory project”の最終報告書が公表されています。概要をまとめたKey findings and recommendationsに加え、MyLibraryのログ分析や、フォーカスグループのレポートも公開されています。概要部分には、以下のような記述があります。
・教員と学生の約65%は研究・学習・娯楽目的として電子書籍を使ったことがある。
・図書館の電子書籍を利用することが多い。
・図書館員は、電子版教科書を、需要がピークになった際の予備として考えている。
・電子版教科書の利用は授業などに連動し、月ごとの変動が大きい。
・電子書籍は忙しいライフスタイルにあわせた読書ができる点が評価され利用されている。
・調査には、英国全域から52,000件の回答があった。
・電子書籍は、事実確認などの短期的な利用が多く、教科書というよりは辞書的に使われることが多い。
・ユーザーインターフェースには改善が必要である。
・電子書籍の市場が複雑すぎ、図書館員は、契約の複雑さや価格の高さに不満を感じている。
・電子書籍はビジネス系の学部で人気が高い。
・利用者は、利用のためのルートやプラットフォームが多すぎると感じている。
・調査の範囲では、紙資料の販売への悪影響は見られなかった。
・図書館の目録と図書館サイトからのリンクが、電子書籍利用の主なルートである。
・利用に積極的な「スーパーユーザー」が存在する。
Final report available
http://www.jiscebooksproject.org/archives/335
Key findings and recommendations
http://www.jiscebooksproject.org/wp-content/JISC-e-books-observatory-final-report-Nov-09.pdf
UK: JISC National E-Books Observatory project: Key Findings and Recommendations(2009/11/30付けResourceShelfの記事)
http://www.resourceshelf.com/2009/11/30/uk-jisc-national-e-books-observatory-project-key-findings-and-recommendations/
参考:
E927 – 学生・教員に対する電子書籍利用調査の意外な結果とは?(英国)
http://current.ndl.go.jp/e927
大学生・大学教員・大学職員合計2万人の電子書籍利用動向調査(英国)
http://current.ndl.go.jp/node/8143