BLとオックスフォード大学図書館の貴重書を切り抜いた犯人、有罪に

英国図書館(BL)とオックスフォード大学図書館が所蔵する、中東関係の貴重書を切り抜いた犯人に対し、有罪が宣告されました。この犯人とBLの関わりについて、BBC Newsが報じています。

犯人は、イラン生まれの英国人で、イラン文化財団の理事長や、中東関係の書籍出版社の社長を務めており、かつ、16世紀以後の英国と中東の関係に深い専門的知識を有していました。そして、BLの「典型的な利用者」として、貴重書の閲覧を許されていました。この権限を背景に、監視カメラの目をかいくぐってメスで書籍のページを切り取っていたとのことです。利用者からの「切り取られた書籍がある」という通報をもとにBLが蔵書を調査し、また過去の利用記録と照合したところ、犯人が特定されたとのことです。犯人の自宅に所蔵されていた書籍の中から見つかった切り抜きについて、BLの蔵書から切り抜かれたものであることを特定する作業は、蔵書が唯一のもので貴重書であったことから、大変な困難であったとのことです。なお切り取られた当該分野の書籍は150冊あまりですが、犯人が罪を認めているのは10冊とのことで、その10冊だけで被害額は71,000ポンド(約960万円)だそうです。BLの担当者は「国家の集合的記憶への攻撃という蛮行」「利用者との間で築いてきた信頼関係のきずなが、根底から断ち切られた」と憤慨するコメントを寄せています。

ちなみにこのような切り抜き犯は過去にも捕まっており、BBC Newsはそれらの犯人に関するニュースも紹介しています。

BBC NEWS | UK | The thief who stole pages from history
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7739953.stm

Library thief convicted – British Library
http://www.bl.uk/news/2009/pressrelease20090116.html

参考:
地図切り抜き犯の裁判でBLが厳罰を要求(米国)
http://current.ndl.go.jp/node/4611