カレントアウェアネス
No.138 1991.02.20
CA721
共同研究の文献は誰のもの?
アメリカのカリフォルニア大学バークレー校図書館と国立公文書館が,それぞれ文献の所有権を主張して争っている。その文献とは,大学と,連邦政府から資金を得ている同大学の研究所の双方から委託を受けた科学者が作成した202箱の資料である。図書館にあったそれを公文書館の職員がトラックで乗りつけて運び出してしまった。その言い分は「連邦政府が資金を出している研究所で働いている間に作成された文書は,他の連邦政府の記録と一緒に保管されるべきだ」ということである。これに対して大学図書館側は,文献は科学者が図書館に寄贈したものであると主張している。図書館員の中には「公文書館のやり方は人さらいのようなもので,公文書館には何が政府の財産であるかを決める権限はない」と言う者もいる。
坂本 博(さかもとひろし)
Ref: National Archives and Berkeley dispute rights to collection. American Libraries 21 (7) 627, 1990.