CA1172 – MARC Harmonization / 飯倉忍

カレントアウェアネス
No.222 1998.02.20


CA1172

MARC Harmonization

1960年代に米国で開発されたMARCはその後多くの国で採用されているが,各国の目録規則や考え方の違いから必ずしもフォーマットが完全には一致せず,書誌情報の流通が簡単に行えるようになっていなかった。

米国議会図書館(LC)と英国図書館(BL)は,MARCフォーマットの共通化を目指した検討を続けており,今までに典拠ファイルのフォーマットの共通化(CA1002,CA1093参照)が図られてきた。1997年1月,この2館とカナダ国立図書館(NLC)を含めた三者は,各館が作成するMARCフォーマットの共通化を図ることに合意した。もともとLCのUSMARCとNLCのCANMARCは殆ど共通化されていたため,今回はBLのUKMARCについての共通化を行うということが中心となる。

このことによる恩恵としては,それぞれが微妙に異なっていたために必要であったコンバート処理が不要になる,フォーマットの文書化と維持管理が大幅に減る,目録の共有が容易になることから目録作成自体のコスト削減につながる,などがあげられている。

今回の合意に伴い,MARC一体化調整会議(MARC Harmonization Coordinating Committee)が設置され,次のような事項が協議されることになった。

  • UKMARCフォーマット及び共通化されたUSMARC・CANMARCのフォーマットの開発を,調整を図りつつ進めること
  • 一体化を更に進めるための方策を探ること
  • 将来のフォーマットの開発が他の国際規格を考慮したものとなるようにすること
  • 技術的な進歩がMARCフォーマットに与える影響の調査をすること

しかし,もともと英国のMARCと北米側のそれとでは思想的とすらいえるような違いがあり,また,今までのUKMARCのユーザもまだたくさんいることから,完全な一致に至るまでには,まだまだ時間がかかりそうである。

飯倉 忍(いいくらしのぶ)

Ref: Towards a harmonized MARC format. Natl Libr News 29 (6) 7-8, 1997
Major milestone achieved towards MARC harmonisation. Program 31 (4) 383-384, 1997
LandMARC decision. Select (20) 3, 1997